■ダイナミックな“帝都花組”のムードメーカー!『サクラ大戦』桐島カンナ

 1996年にセガサターン用ソフトとして発売された『サクラ大戦』は、蒸気文明が発達した架空の年号「太正」時代を舞台に、霊力を持つ女性で構成された秘密部隊「帝国華撃団・花組」とともに数々の脅威と戦っていくアドベンチャーゲームである。

 作中には主人公と一緒に戦う乙女たちが登場するのだが、なかでも屈指の“パワータイプ”のキャラクターとして描かれているのが、帝都花組のメンバーの一人・桐島カンナだ。

 カンナは一団の“ムードメーカー”として立ち振る舞う明るい女性で、その親しみやすい性格と舞台での大立ち回りから人気が高く、帝都のちびっこたちからは“ヒーロー”として慕われている。

 彼女はなんと197cmという高身長であり、さらに「琉球空手桐島流」の第28代継承者という肩書を持つ。こういった背景から非常に高い身体能力を有しており、武装しない素の肉体でも尋常ならざる戦闘能力を誇る人物だ。

 素手で牛を殺す、石を砕くといった活躍は序の口。小説版では20枚重ねた瓦を一撃で砕き割ったり、岩壁を素手で穿ったり、巨大な鋼鉄扉を蹴りで開けたりと、その人間離れした身体能力をいかんなく発揮している。

 これには彼女が受け継いだ流派が関係しており、霊力によって肉体を強化していることから怪力を発揮することができるという。

 本作のヒロインたちは「霊子甲冑」と呼ばれるロボットに登場して敵と戦うが、カンナはこの際もいっさい武器を使わず「射程1」の格闘術を駆使して戦う。射程こそ心もとない部分もあるが、その威力は圧倒的で、バトルの場においても“パワーファイター”としての堂々とした存在感を放っている。

 可憐な面々が集う「帝国華撃団」においてはどこか異色な存在の彼女だが、ゲームをプレイするとその独特の魅力が明らかになってくるのも、本作のウリの一つだろう。

 

 ゲームの“パワータイプ”といえばどこか男性キャラクターを連想しがちだが、今回紹介したような男性顔負けの力強さを発揮する女性たちも多数存在している。あらためてその“パワー”を持つ背景に目を向けると、思わぬ設定が見えてくるのは実に面白い点である。

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