■「ソロモンの悪夢」「フォン・ブラウンの戦士」粒揃いの『0083』

 1991年にOVAがリリースされた『0083』も魅惑のサブタイトルが並ぶ。第9話は「ソロモンの悪夢」。これは本作の敵役、アナベル・ガトーの二つ名がサブタイになったパターンだ。これまでのシリーズでは『ZZ』の第3話「エンドラの騎士」(マシュマー・セロのこと)程度であり、当時は珍しかった。タイトルの「ソロモン」は一年戦争の激戦地だけに、『ファースト』を観ている視聴者にとっては重くて悲しい響きを持っている…。

 個人的に『0083』でもっともしびれたサブタイトルは第6話「フォン・ブラウンの戦士」。この話では、『ファースト』の第15話「ククルス・ドアンの島」的なモチーフが繰り返され、『0083』の地球連邦軍所属の主人公コウ・ウラキと元ジオン公国軍のケリィ・レズナーの交流、いわば敵との邂逅が描かれる。サブタイも相まって、本当の「戦士」とは何者なのかを観る者に問う一話となっている。

■「ラスト・リゾート」の本当の意味?

 最後は1999年にリリースされた『08小隊』から。本作は地球連邦軍のシロー・アマダが小隊を率いて、一年戦争の死闘を地上で闘い抜く姿を描く物語だ。第1話のサブタイは「二人だけの戦争」。これも、味方・敵に分かれた男女のラブストーリーでもある本作を見事表現。ところで、『機動戦士ガンダムSEED』第24話にも「二人だけの戦争」というサブタイが。この『SEED』の一話も『08小隊』の「二人だけの戦争」の変奏という感じがする。

 本作を観る者は10、11話「震える山」の前後編で心をえぐられて、特別編&最終章の「ラスト・リゾート」にたどりつくのだが、筆者は初見時「ここがシローたちの『最後のリゾート(行楽地)』なのか…」などと思っていた。その「last resort」という文字の意味を、ぜひこの機会に調べてほしい。本当の意味はおそらく「最終手段」「最後のよりどころ」…。この最終話は、そのドライなサブタイゆえに、『ガンダム』シリーズ屈指の孤高のラストとなっているのではないだろうか。

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