80年代にディスクシステムで遊んだ人たちにとって、懐かしいゲームソフトはたくさんあるだろう。任天堂はファミコンなどのハードも素晴らしいが、ゲームソフトでも優良なメーカーだった。
そこで、任天堂が誇るディスクシステムの名作スポーツゲームを紹介したい。
■こんな本格的ゲームが86年に発売されたことに驚き!シングルプレイでも燃えに燃えた『バレーボール』
まずは、1986年に発売された『バレーボール』だ。
現代でもバレーボールのゲームはあまり普及しておらず、実は本作が一番の名作だといっても過言ではない。ボタンが2個しかないのに、多彩なプレイを実現できるのが素晴らしかった。
当時は1984年のロス五輪で日本の女子チームが銅メダルに輝き、次のソウル五輪に金メダルの期待がかかっていたものだったが、しかし、このゲームではコンピュータが強い。ソ連や中国、キューバがとにかくやっかいだった。アメリカよりも強かったんじゃないか? 西側諸国は押されていた……。
あと、トレーニングモードがあるのも斬新だったな。ボールを打つタイミングで強弱をつけられるサーブやクイックができるトス、フェイントができるアタックなど、攻撃も素晴らしかった。ディフェンスもAボタンで前衛に集中し、2枚ブロックも可能だった。そういえばボタン長押しをすると、ダイレクトアタックもできたな……。
そして、やはり対戦プレイに燃えた。友達とフェイントのかまし合いをしていたが、ボタンを押そうとする力の入れ具合でバレてしまったものだ。
また、サーブ権にも白熱した。相手にアタックを決められても「まだ大丈夫!」と、サーブ権の移動で試合時間が長くなって肩に力が入り過ぎたものだった。懐かしい……。
とにかく、こんな名作が86年に発売されていたことに驚きだ。ディスクシステムだけでの発売だったのが、本当に残念といえる。
■やはり決め手は空振り必至の「エンズイギリ」! 多くのファンが待ち望んでいた『プロレス』
次は、『プロレス』だ。ファミコンではすでに『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(バンダイ)や、『タッグチームプロレスリング』(ナムコ)が発売されていたが、筆者的に最高傑作だったのはこの作品だった。
こちらも1986年に発売されたゲームソフトだが、当時はプロレスもゴールデンタイムに中継されるなどお茶の間の人気番組だった。初代タイガーマスクの影響もあって、幼少のころからプロレス好きだった筆者は、発売と同時にどうにか購入してもらったことを覚えている。
ファイターは6人(最後のボスを入れると7人)と少ないが、それはファミコンだから仕方ないものだ。ボディスラムやバックドロップといった定番の技はもちろん、ブランチャーやトップロープからのフライングニードロップなども可能だった。対戦時にはロープに振られても、ボタンをうまく押すと止まることができたな。
そういえば、組み合うと見せかけてローリングソバットを繰り出す、イヤな性格の友人もいたものだ……。ボタンの連打もさることながらスタミナが見えないので、とにかく体力を削って必殺技で決めるのが王道だった。必殺技のなかでも、“不屈の戦士”のファイターハヤブサ(どうみても猪木)が繰り出すエンズイギリがどうにも難しかった。
必殺技は相手のスタミナがあると通用しないのだが、そもそもエンズイギリは空振り率が高い。しかも外すと自分にダメージが返ってきて倒れてしまうという脆さ……どのへんがハヤブサなんだ?
ただ、この作品はのちにつながるプロレスゲームの原点といっても良いくらいの出来だったな。