■時代とともに進化していった『ドラゴンボールZ』シリーズ

 また、ファミコン時代のジャンプゲームといえば、『ドラゴンボールZドラゴンボールZ』シリーズを外せない。1989年『ドラゴンボールZ 強襲サイヤ人』から始まった同シリーズは、厳密には漫画ではなくアニメを原作としているが、キャラやストーリーを再現しながら、時代とともに進化していったゲームと言えるだろう。

 初代の『ドラゴンボール 神龍の謎』は孫悟空を操作するオーソドックスなアクションゲームだった。しかし2作目となる『ドラゴンボール 大魔王復活』はカードバトルと双六式のRPGとなった。このシステムは原作『ドラゴンボール』の世界各地を冒険をしてドラゴンボールを探していくという世界観を見せる目的で考案されたものだ。また、当時のスペックでは、アクションゲームでキャラの個性を表現するのが難しい状況だった。なので、RPGの戦闘画面を漫画のコマのようにして、キャラクターを大きく詳細に描くという試みがなされている。

 このRPGシステムは『ドラゴンボールZ』にも引き継がれ、孫悟空以外にもピッコロやヤムチャといったZ戦士たちをプレイアブルで使うことができるように。名エピソードがアニメと同じように展開されただけでなく、戦闘画面ではキャラが活き活きとアニメーションで動く作りとなっている。また、奥から手前にキャラが動いたりする三次元的なアニメーションは、当時としては画期的で、アニメを原作とした作品ならではの楽しみと言えるだろう。

 当時は『ドラゴンクエスト3』が発売され、大RPGブームに突入した時代。各メーカーからさまざまなRPGが生まれたが、キャラクターがここまで激しく動くRPGは珍しかった。

 その後、スーパーファミコン時代になり『ドラゴンボールZ 超武闘伝』シリーズが始動。ゲーム機のスペックアップにより王道のアクションゲームに立ち返り、『ストリートファイター』シリーズのような格闘ゲームとなった。アニメ『ドラゴンボール』シリーズは未だに人気となっている。今後も時代に合わせて進化した『ドラゴンボール』のゲーム作品が開発されることだろう。

■BGMも秀逸だった『天地を喰らう』

 最後は1983年から1984年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された本宮ひろ志氏の漫画を原作とした『天地を喰らう』だ。ゲームシステムは大味ながら爽快感があるRPG形式となっている。

 画期的なのは、通常では戦略シミュレーションになりがちな三国志を、RPGに落とし込んでいる所である。通常ではHPやライフポイントであるものを、兵士数とすることで、個人対個人ではなく、部隊対部隊を表現しているのだ。

 また移動速度が速く、マップ移動がサクサク進む。そして総攻撃コマンドによる自動戦闘システムを備えているなど、ストレスのないよう設定されたシステムが当時のRPGとしては珍しい。趣味やゲームの多様化によってタイパ(タイムパフォーマンス)を意識し始めた、最新ゲームを先取りしたようなシステムである。

 同作を原作としたファミコンは『天地を喰らうII 諸葛孔明伝』とあわせて2本発売されている。いずれもシステム、そして音楽が秀逸な名作。2018年に『ジャンプ』創刊50周年を記念して発売された「ミニファミコン」ジャンプ版で同作が収録されているが、未プレイの方はぜひその世界を味わってほしいところだ。

 ゲームの発展期に開発されたのもあって、この3作品のゲームシステムはどれも、今の時代になっても非常にユニーク。当然、ゲームバランスの問題はあるものの、こういった革新的なゲームが多く存在するファミコン時代のゲームは興味深いものである。

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