昭和の時代から始まり、令和の今も親しまれているコンシューマーゲーム。その火つけ役となったのが1983年に発売され、今年7月で誕生40周年を迎える「ファミリーコンピュータ」だ。家庭用ゲームの爆発的ブームの中、さまざまなメーカーから「戦国時代」さながらに多様なソフトが発売されたが、限りある小遣いの中で購入できるのはその中のわずか数本。はたして何を買うべきか、頼りになるのは友人たちとの情報共有や、そして「知っている漫画・アニメ」のパッケージが箱に描かれていることだった。
そんな中、ファミコン時代に同じく子どもたちの間で大人気だったのが『週刊少年ジャンプ』に掲載されていた漫画たち。『北斗の拳』『キン肉マン』『聖闘士星矢』に『燃える!お兄さん』や『まじかる☆タルるートくん』といったタイトルまで、名作の多くがファミコンでゲーム化されたが、原作人気で買ったところ、意外とその「ゲーム性」の高さにハマったという人は多いのではないだろうか。
そこで今回は、そんな『ジャンプ』漫画原作のファミコンソフトの中から、特にシステムが斬新だったタイトルをいくつか振り返ってみたい。
■サッカーをコマンド式シミュレーション風に
サッカーゲームといえば現在はeスポーツとして数々の大会が開かれる人気のジャンル。おもにボールを持った選手やボールに近い選手を操作し、ドリブルやパスで相手ゴールに近づきシュートして点数を入れるという、現実のサッカーを疑似体験できるようなアクション性の高いシステムが採用されている。
しかし長いサッカーゲームの歴史の中で、コマンド選択式シミュレーションシステムのサッカーゲームが存在した。それがテクモから発売された、高橋陽一氏の漫画を原作とした『キャプテン翼』だ。
ファミコンの『キャプテン翼』はスポーツジャンルでありながら、キャラの移動程度しかアクション要素が無い。プレイヤーは「ドリブル」「パス」といったコマンドを選択して選手を前進させる。自チームのキャラが敵キャラと接触したときなどには「タックル」などでボールを奪う仕組みだ。また、一部のキャラクターには特殊コマンドが用意されており、大空翼の「ドライブシュート」や日向小次郎の「タイガーショット」、立花兄弟の「スカイラブハリケーン」などの必殺シュートを使える。これも原作再現に一役買うこととなった。
このシステムはキャラクターものとして優秀で、アクション中心のゲーム性だと、ファミコンのスペックではキャラクターの個性を表現するのが難しい状況だった。しかし、このコマンド式シミュレーションシステムにすることにより、キャラ絵を大きく映すことが可能に。レベルを上げることによって、シュートでゴールネットを突き破れるようになったり、「ガッツ」が足りないと必殺技が打てなかったり、絵とともに翼たちの力を“数値”で知れるというのはゲームならではの楽しみだろう。
同作はもともとは1986年に発売される予定だったが、発売延期を繰り返してアニメ終了から2年がたった1988年に発売。タイミングが微妙にズレてしまったとはいえ、漫画やアニメで知っていた『キャプテン翼』の世界を堪能できるゲームとして多くの子どもたちに愛されたソフトだった。