戸塚純貴(撮影・弦巻勝)
戸塚純貴(撮影・弦巻勝)
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 実は、もともと芸能界にはそれほど興味はなくて、将来の夢は自動車整備士だったんです。子どもの頃から自動車が好きだったので、高校も自動車整備士育成高校に通っていたんです。でも母が、僕を芸能界に入れたがっていたんですよね。子どもの頃から赤ちゃんモデルやジャニーズさんにも応募していたんです。

 そんな中で「ジュノンボーイ」のコンテストを受けることになったんです。僕は嫌だったけど、そのタイミングが就職に失敗した頃で、母に「東京に遊びに連れて行ってやる」みたいなことを言われて、行った先がオーディション会場。もう完全に騙されましたね(笑)。

 そんな母の気持ちに根負けしたのと、コンテストが東日本大震災の数日後で、地元のために何かやれることはないか……という思いで受けることにしたんです。すると、あれよあれよと最終コンテストまで残って。人生ってこんなことがあるんだなって驚きましたね。そういう意味では、これは僕の賞ではなく母の賞なんです(笑)。

 それから、俳優という仕事を10年以上やらせてもらっていますが、僕の目標はアメリカの俳優、ジム・キャリーさん。彼の代表作の『マスク』が子どもの頃から好きで、よく見ていましたね。

 俳優になって改めてこの映画を見ると、やっぱり面白いんですよ! 喜劇と悲劇って紙一重なもので、ジムはそこをとてもうまく表現していて。俳優をやるんだったら、ジムみたいに、人を笑顔にさせる俳優になろうと改めて決心したんです。今回主演をさせてもらうドラマ『かりあげクン』も、そういう意味ではピッタリな作品だなって思っています。

 ただ、原作マンガ自体、シュールでブラックで、これをそのままテレビで放映となると、放送コードに引っ掛かるんじゃないかって不安がありましたけどね(笑)。

 マンガを読んだときに、演じたかりあげクンについて思ったのは、妖怪・あまのじゃく。小童でいたずら好きなところが、かりあげクンのイメージと一致したんです。でも、いたずらって、この人にしたら怒られるのか笑ってすまされるのかってことを理解していないとできないと思うんです。実は、そんないたずらに対するかりあげクンの意欲って、役者業にも通じるところがあるんです。

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