■僕はまず、演出家が想定していないことをワザとやってみる
お芝居の段取りでも、僕はまず、演出家が想定していないことをワザとやってみるんです。僕の中にもあまのじゃくなところというか、人の言うことをあまり聞きたくないというところがあるんですよね。
だいたいはたしなめられちゃったりするんですけど、その結果、演技の幅が広がったり、役の理解が深まることもあるんですよ。だから、かりあげクンは演じていて本当に楽しかったです。
昨年、30歳になって、節目の年ってよく言われるんですけど、その節目の感じって実はよく分からないんです。ただ、今までやってきたことを変わらずに続けることは大事だと思いますし、考え方や意識も変わらずにやっていきたいです。俳優ってやらされる仕事ではなく、自分で選択していく仕事。こうなりたいとか、誰にも負けないくらいの面白いことを考える……といった探求心が大事だと思うんです。
同時に思いやりも俳優にはすごく大切だな、とも思います。俳優って相手の気持ち、芝居を受け取らないといけないから、その気持ちに寄り添える心って大事なことなのかなって思うようになりました。やっぱり、自分ひとりだけじゃお芝居はできない。自分がやりたいと思ったことを行動に移せるーー有言実行的な人って素晴らしいと思うけど、でも、それができる人はなかなかいないだろうし、誰もがそう簡単にはなれるもんじゃないとも思うんです。
俳優って漢字で書くと“人に非ず優(すぐ)れている”って普通は思うだろうけど、僕的には“人に非ず優(やさ)しい”だと思うんです。
戸塚純貴(とづか・じゅんき)
1992年7月22日、岩手県生まれ。T172。2011年、ドラマ『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』(フジテレビ系)で俳優デビュー。1月20日スタートのテレビ朝日 金曜ナイトドラマ「リエゾン~こどものこころ診療所~」、3月17日から舞台「たぶんこれ銀河鉄道の夜」(作・演出:上田誠『ヨーロッパ企画』)が控える。