■マカロニウエスタン調だった『快傑ズバット』
1977年に放映された『快傑ズバット』は、原作を石ノ森章太郎氏が担当した東映特撮ドラマだ。私立探偵・早川健が親友の科学者・飛鳥五郎の仇を求め、「ズバットスーツ」をまとい悪の組織「ダッカー」と戦う。
主人公の早川を『仮面ライダーV3』などの宮内洋が担当。白いギターを背中に担ぎ、白のスカーフやテンガロンハットを被ったカウボーイ姿の早川を宮内洋がキザにかっこよく演じていた。
本作で一番の魅力といえば、早川が各地で繰り広げる「日本一対決」であろう。早川は「ダッカー」のボスなどが雇う用心棒の特技で戦うのだが、早撃ちやナイフ投げのようなものから、尺八を使ったボウガンやトランペットから出る吹き矢を使うものまでかなり特殊な対決もあった。ところが早川は「その腕前は日本じゃ~二番目だ」と相手を挑発したうえで、どんなに荒唐無稽な特技も打ち破ってしまうのだから恐れ入る。
さらに変身ヒーロー(?)でありながら、早川はギター内部に収納した「ズバットスーツ」に着替えて「ズバット」になった。ズバットスーツも飛鳥の開発途中だったものを、早川が溶接して完成させたりとかなりの異色っぷりだ。
そんな本作だが実は「渡り鳥シリーズ」といった日活無国籍映画のテイストを流し込んでいるのが特徴。日本が舞台でありながらマカロニウエスタン調の設定や雰囲気を漂わせていた。
また「ズバット参上! ズバット解決!」「飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな!」など、ファンには堪らない数々の名セリフが生まれた作品でもあった。