■西部劇的作りに夢中になった『快傑ライオン丸』
最後に紹介するのが1972年に放映されていた『快傑ライオン丸』だ。戦国時代を舞台に、ヒマラヤ山中で邪悪な妖術を身につけ日本征服を企む「大魔王ゴースン」に対し、その野望を打ち砕かんと果心居士(かしんこじ)に育てられた獅子丸が「ライオン丸」に変身し仲間とともに戦う。
獅子丸が師匠から受け継いだ「金砂地の太刀」の鎖が外れ、「風よ!光よ!」「忍法獅子変化!」と唱えることで白い獅子顔の剣士「ライオン丸」に変身。一方、ライバルである邪剣士・虎錠之介も、ゴースンから授けられた「銀砂地の太刀」で全身トラ模様の「タイガージョー」へと変身する。獅子と虎の対決は宿命なのかもしれない。
こうしたメインキャラ以外にも、ゴースン配下の忍者怪人も「戦国時代」の殻を破り、さらには時空を超えたネーミングぞろいであった。例えば「ムササビアン」は序の口で、高圧電流を放つ槍を武器にした「エレサンダー」や吸血怪人「ゾンビー」、さらにパンダをモチーフ(?)にしたであろう「パンダラン」などが登場していた。
それもそのはず、本作は『マグマ大使』などの「ピー・プロダクション」が制作しているが、東映が手がけた『仮面の忍者 赤影』や『変身忍者 嵐』のような「特撮時代劇」と呼ばれる作品なのだ。
多くのファンを獲得した『快傑ライオン丸』の人気を受け、翌年には『風雲ライオン丸』が制作・放映。こちらも舞台を「戦国時代」にしてはいるが「西部劇」を意識した作品となっており、さらに「弾丸(ロケット)変身」でライオン丸に変身している。
今回紹介した3作は筆者が子どものころに地方局の再放送などで視聴し、そのインパクトが大人になった今なお心に刻まれたままの思い出深い特撮番組。多国籍かつ異国感ある設定であるものの、名乗りを上げたりお決まりの口上のなかに日本特有の「様式美」を感じずにはいられない名作ぞろいであった。