■ソフトの数は人脈の証!? マウントを取る友人の軍門へ
ファミコンが流行ったとき、小学生だった人は覚えているだろう。お小遣いが少なかった小学生は当然、あまりゲームソフトを買うことができない。これは各家庭によっても異なるものだったが、どのクラスにもソフトを多数そろえる強者がいたものだ。
彼らはクラスメイトにソフトを貸すことによって人脈を広げ、ゲームの攻略情報や知識を与えて信頼を得る、いわばコンサルタントだった。
筆者の家庭もそれほど裕福ではなかったが、世間の景気がいいこともあって年に数本のソフトを買ってもらえることもあった。しかし、その強者は発売日に合わせて何本もソフトを購入できるから驚きだ。
一度、その強者の家に招待されたことがあったが、ゲームだけでなく漫画やタミヤのプラモデルも多数そろえる本格派(?)で、筆者は圧倒されてしまった。マウントを取る強者の言うことは説得力に溢れており、当時の筆者もすぐさま軍門に下っている。
信頼を得るにはまずは与えるべきであり、まさに「隗より始めよ」だ。いや、違うのか……。
令和の現代ではあり得ないこともあるが、情報量の少ない当時は何かとファミコンで試行錯誤していたものだ。
貸し借りのトラブルや行列に並んでも買えないこと、マウントを取る相手など、大人になってから分かる「リアル」をファミコンは教えてくれたものである。