日本のアニメ業界は日々めざましい成長を遂げ、クオリティの高い作品が視聴者のもとへ提供されている。しかし、今から遡ること数十年前の昭和アニメには、今見ると懐かしくて甘酸っぱい、ちょっと恥ずかしくなってしまうようなシーンが多くあった。今回はそんな「昭和アニメあるある」を5つ紹介したい。
■とにかくよくズッコケる
昭和のアニメといえば、とにかくズッコケるのが特徴だ。ボケや落としどころで、登場人物全員でズッコケて“足だけのショット”になるというのが定番だった。なかでもよくズッコケていたのが『忍者ハットリくん』だろう。ズッコケシーンで出る「ズコー!!」というセリフは、もはや「ハットリくん」の世界ではなくてはならないものとなっていた。
そのほかにも、『ハイスクール!奇面組』『ついでにとんちんかん』『タイムボカンシリーズ』などもズッコケシーンが多く、いったんズッコケで落として次のシーン……という流れがよく見られた。
このズッコケシーン、昭和で終わったものと思われがちだが、平成になっても『クレヨンしんちゃん』『ミルモでポン!』『おねがいマイメロディ』など、子ども向けのアニメにはよく使われていたようだ。しかし、次第に見かける機会が減っていき、令和の今、たまに目にすると昭和のノスタルジーを感じてしまう。
■女性キャラがすぐにビンタする
昭和アニメでは、とにかく女性キャラが男性キャラにすぐビンタしがちだ。ビンタシーンは、だいたいお決まりのパターンで発生する。有名なのは『ドラえもん』でしずかちゃんが「のび太さんのエッチ!」と言ってビンタするもの。また、『うる星やつら』でラムのように電撃が出せないしのぶが、諸星あたるのチャラさに怒り心頭したときにビンタが発動されることもよくあった。
なかでも、筆者が昭和アニメで秀逸だと思えるビンタシーンが、あだち充氏原作のアニメ「みゆき」だ。
仲間で海水浴を楽しんでいるシーンでヒロイン・鹿島みゆきだけ、持ってきたはずのビキニの下が見つからず私服でたたずんでいる。そんな彼女に主人公・若松真人が話しかけていい感じになるも、友人にバケツで水をぶっかけられる真人。
慌ててポケットからハンカチを取り出して顔を拭こうとすると、それはハンカチではなく真人が女子の部屋に忍び込んで拝借したみゆきのビキニだった。ヒラヒラと舞うビキニ……。その瞬間、真人をキッと睨んでビンタするみゆき。あだち充作品ならではの切なさ、そしてタイミングの悪さが素晴らしかったと思う。
■主題歌タイトルにアニメタイトルが入っている
昭和アニメには「ラムのラブソング」「翔べ! ガンダム」「デビルマンのうた」「タッチ」など、主題歌タイトルにアニメタイトルがそのまま使われたオープニング曲が多かった。これは、アニメのメイン視聴者が比較的小さな子どもたちであったことが理由ではないかと思う。
しかし、昭和の終わりから平成にかけて、アニメの放映時間帯が夜のゴールデンタイムから土日の朝や昼間に移動するようになり、やがて深夜帯にも増えていくように。このころから、アニメのタイトルとは関係ない楽曲の名前やアーティストとのコラボが多くなっていった気がする。