■「スカートめくり」が当たり前
今では「セクハラ」と認定されるようなNGシーンが、昭和のアニメではわりと当たり前にあった。なかでも「スカートめくり」は、“昭和アニメあるある”だろう。
“スカートめくりアニメ”の2トップと言えば、『さすがの猿飛』と『まいっちんぐマチコ先生』だと思う。前者は忍術で風を起こしスカートをめくるのに対し、後者は直接的に先生のスカートをめくるという清々しいまでのセクハラっぷり。
また、国民的アニメである『ドラえもん』にも「スカートめくり用マジックハンド」なるひみつ道具が、コミックス11巻の「ドラえもん大辞典」に登場している。
今では考えられないような描写だが、“昭和”というおおらかな時代だからこそ許された表現方法だったのであろう。その後、時代が平成に変わるとスカートめくりなど直接的なセクハラ表現は少なくなっていくが、その代わりに“ラッキースケベ”の手法が多く用いられるようになった。
■エンディング曲が暗め
なぜかエンディング曲が暗めなのも、昭和アニメの特徴だと思う。
たとえば、“強ければそれでいいんだ 力さえあればいいんだ”と、孤児だった生い立ちゆえに力に頼らざるを得なかった主人公の心情を歌い上げた『タイガーマスク』のエンディング曲「みなし児のバラード」。また、“枯葉散る 白いテラスの午後三時”と、暗めのムード歌謡のような出だしで始まり、脈絡なくバカボンパパの首がバラの花とともにゴロンと転がっているシーンがトラウマだった『元祖天才バカボン』のエンディング曲「元祖天才バカボンの春」など、作品とは関係なくグッと暗めの曲調が多かった。
子ども向けアニメが全盛期だった昭和40年代は公害問題やオイルショックなど高度成長期の陰の部分のようなものがクローズアップされていたため、当時の世相の雰囲気を反映したものなのかもしれない。
今見ると、懐かしい気持ちと甘酸っぱい思い出が蘇る“昭和アニメあるある”だが、現代の若者、いわゆる「Z世代」には意外にもウケているようだ。TikTokでは「エモい」というハッシュタグとともに多くの昭和テイストのアニメがアップロードされ、再生回数が高回転している。時代が一周した今、昭和のアニメ作品の良さを再確認してみてはいかがだろうか。