■「こんなもの、あってはならないんですよ…!」

『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』のレブレサックの村長のセリフ。過去のレブレサックでは、モンスターに呪いをかけられた神父を、村に異変をもたらした原因と思い込んで処刑しようとした事件が起きていた。主人公たちの活躍でぎりぎりのところで呪いが解かれた神父を見た村人たちは、過ちを猛省し、二度と忘れないために石碑として村に残したのだ。

 しかし、現代のレブレサックに戻ると、その石碑は別のものに替わっており、まったく別の物語に捏造されていた。本物の石碑を見つけた主人公たちが、村長に事の真相を尋ねると、村長はその石碑を粉々にしてしまい、真実を隠ぺいしてしまう。

 村長としての尊厳や名誉のために、有無も言わさずに真相を闇に葬ってしまった村長の心の闇が見えたセリフだった。

 また、神父を処刑しようとしたことを反省する村人たちの中で、たった1人だけ「あたしゃはじめっからわかってたよ。あの魔物が神父さまだって。」と自らの過ちを頑なに認めない女性のセリフもなかなかの闇深さだった。

■番外編「おきのどくですがぼうけんのしょ〇ばんはきえてしまいました」

 ここまで5つの名セリフを紹介したが、“ゾッとする”といえばやはり「おきのどくですが…」のこの文字を見たときのショックが忘れられない。

 ファミコン版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』からは冒険の書によるバックアップ機能が搭載され、これまで紛失や書き損じなどによる事故が起きがちだった「ふっかつのじゅもん」の苦しみから解放された。しかし、その一方でデータが消えるという別の不幸がプレイヤーを襲うようになった。

 学校から帰りランドセルを放り投げ、いざ冒険の続きを再開しようと急いでファミコンの電源をいれた途端に不吉なBGMとともに流れるこのメッセージ。頭が真っ白になってしまう恐怖の言葉であり、絶対に見たくないセリフではないだろうか。

 以上『ドラクエ』のモブキャラたちの闇深いセリフを紹介した。もちろんこれ以外にも多くの闇深い名セリフがあるだろう。プレイヤーによっては不快な思いをしたモブキャラも存在するかもしれない。しかし、決して楽しいことだけではない理不尽さも含めた冒険だからこそ、キャラクターに人間らしさを感じることができ、リアリティのある物語となっているのだろう。

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