日本を代表するRPG作品の一つである『ドラゴンクエスト』シリーズ。1986年にファミリーコンピュータ用ソフトとして誕生して以降、最新作『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』までナンバリングタイトルだけで11作が発売されているが、どの作品のシナリオも『ドラクエ』の世界観に没入させてくれる。そんなストーリーに深みを出してくれるのは、やはりなんといっても堀井雄二氏が生み出すセリフの数々だろう。
ストーリーを進める鍵となっているメインキャラクターたちはもちろん、城の守衛たちや村人たちまで、ついつい全員話しかけたくなってしまうのが『ドラクエ』。セリフの端々から彼らが普段どんな生活をしているかが見えてくるが、中には思わず「ゾっ」としてしまうような怖いセリフもあったりする。
そこで今回は数多くの名言が生まれてきた『ドラクエ』の中から、モブキャラたちによる“闇深い”セリフを振り返りたい。
■「おお〇〇!しんでしまうとはなにごとだ!」
まずは、2016年の『ドラクエ』30周年を記念して発売された書籍『ドラゴンクエスト名言集』(SE-MOOK)のサブタイトルにも使用された「しんでしまうとはなにごとだ!」がやはり外せない。これは文字通り、主人公が死んでしまったときに王様が放つ一言。王様をモブキャラとして含めるべきか迷いはしたが、王様の言葉とは思えない残酷さがドラクエ世界の闇深さを演出しているセリフではないだろうか。
プレイヤーであれば誰もが必ず聞くであろう「しんでしまうとはなにごとだ!」。竜王を倒すために、たった一人で旅を続ける勇者に対して平然とこの言葉を言ってのける王様の狂気さえ感じられる名セリフだ。
■「おお神よ!ほかの人はどうなってもかまいません!なにとぞ私の命だけはお救いください!アーメン!」
続いては『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』から、魔物たちが支配する城・デスパレスの牢屋に捕えられていた神父によるセリフ。このセリフを言ったのがただの村人ならまだ分かる気もするが、人々を精神的に救う役割である神父のセリフであることにゾッとしてしまう。
牢屋には複数の人間が捕えられており、順々に魔物に食われていっていることが彼らのセリフから伝わるが、極限まで追い詰められることで神父ですら他者を切り捨て、自分だけはと祈ってしまう。このシーンではクリフトによる「神の教えのなんたるかをひとつも理解していないとは」という説法が聞けるが、『ドラクエ』の過酷な世界を表現する闇深いセリフとなっている。