■親友を思いビシッと叱咤することも…カッコいい『NANA』の早乙女淳子

 矢沢あい作品を語るうえで外せない『NANA』。『Cookie』(集英社)で2000年から連載されている作品だが、矢沢氏の病気療養のため、2009年から現在にいたるまで連載が休止されている。

 ストーリーが大きく動いた”本城蓮”にまつわる展開はまだ明かされておらず、休止から13年以上が経つ今も、再開を待ち望むファンがあとを絶たない。

 本作は自由奔放な恋愛体質の小松奈々と、クールで我が道を行く大崎ナナの2人を主軸にしたストーリーだ。破天荒なヒロイン・奈々は物語序盤から周囲の人間をたびたび振り回すのだが、そんな奈々をそばで支えていたのが奈々の高校時代からの親友・早乙女淳子こと”淳ちゃん”だ。

 “元ヤン”と明かされている淳子だが、サバサバとした男前な性格の姉御肌。奈々のように男性に依存したり振り回されることはなく、夢のために信念を持って生きるカッコいい女性だ。

 ふわふわと恋に生き、夢見がちな奈々を淳子はビシッと厳しく叱咤することもあるが、結果的に放っておけない面倒見の良さも持っている。

 破天荒キャラが多い『NANA』だが、常識人の淳子がいるからこそ締まるシーンはあると思う。大人になればなるほど間違っていることにNOと言うことは難しいが、大切な友人だからこそしっかりと指摘できる淳子のようになりたいと思う女性は多いだろう。

 

 矢沢あい氏の作品には、女性が共感し憧れるサブキャラが多く登場する。性格や容姿は違えど、みんな芯が強くてカッコいい女性ばかりだ。彼女たちのリアルな心情や人間味溢れる日常を描いた名作たちは、これからも多くの女性たちの心に大きな影響を与えていくだろう。

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