『天使なんかじゃない』など懐かしの名作が勢揃い…矢沢あい作品に登場する「魅力的な女性サブキャラ3選」の画像
Feelコミックス『Paradise Kiss』3巻(祥伝社)

 多くの女性の心をぎゅっと掴んで離さない、漫画家・矢沢あい氏。そんな矢沢氏の作品にはヒロインはもちろん、ヒロインをそばで支える魅力的な女性サブキャラがたくさん登場する。そんな彼女たちの人間味溢れる様子に共感したり、憧れたことがある経験があるファンは多いはずだ。

 そこで今回は、矢沢あい作品に登場する魅力的な女性キャラを、歴代の名作のなかから3名紹介していこう。

■クールで不器用でも根は優しい『天使なんかじゃない』の麻宮裕子

 まずは、1991年から『りぼん』(集英社)で連載され、累計発行部数が1000万部を突破している、矢沢あい氏の代表作『天使なんかじゃない』から。

 本作は、新設された高校・聖学園で生徒会役員に選出された主人公・冴島翠と、生徒会メンバーたちの青春ストーリー。翠と須藤晃との恋愛模様や生徒たちの学園生活の様子などが生き生きと描かれており、最初から最後まで目が離せない名作だ。

 そんな『天ない』の人気サブキャラといえば、泣きぼくろがチャームポイントの翠の親友・麻宮こと”マミリン”だろう。成績優秀な優等生で、色っぽい美人のお嬢様。モテ男の瀧川秀一を5年間密かに想い続けた切ない片想いのゆくえも本作の見どころのひとつで、ファンを夢中にさせた。

 生徒会の書記に選出された麻宮だが、当初はとてもクールでとっつきにくいキャラだった。しかし、翠が「あんたがあたしを嫌いでも あたしは好きよ マミリン!」と、彼女の心をこじ開けたことがきっかけで、唯一無二の親友になっていく。

 麻宮が夢を追うために留学をしようかと翠に不安を打ち明けたとき、翠は“付き合っている瀧川と離れるのが不安だから?”と聞く。すると「それだけじゃない!」「あんたみたいな友達は…もう出来ないかもしれない」と、麻宮は最後に本心を語り、涙を見せる。

 実際、天使のように優しく明るい人気者の翠のような女性よりも、麻宮のようになかなか素直に感情を表現できない女性は多い。だからこそ、彼女の言動は多くの女性の心を掴むのだろう。矢沢あい作品の女性キャラのなかで「一番好きなキャラクター」と言われたときに麻宮を挙げるファンが多いのも納得だ。

■可愛いだけじゃない…!『Paradise Kiss』の櫻田実和子

 ファッション誌『Zipper』(祥伝社)で、1999年から2003年まで連載されていた『Paradise Kiss』こと『パラキス』。

 恵まれた容姿を持ちながら、ガリ勉でおしゃれにまったく興味がない主人公・早坂紫の素質に惚れ込んだ小泉譲二をはじめとするプライベートブランド「パラダイス・キス」のメンバーが、学園祭のファッションショーに向けて奮闘する物語となっている。

 本作に登場する櫻田実和子は、ふわふわのピンクの髪の毛と大きな瞳が可愛らしい女性だ。実は矢沢氏の『ご近所物語』のヒロイン・幸田実果子の妹で、自主ブランドを立ち上げている才能豊かな成功者の姉に劣等感を感じながらも、「パラダイス・キス」のメンバーとして活動し、一生懸命自分の夢を追いかけている。

 そんな彼女には、永瀬嵐と徳森浩行という2人の幼馴染がいた。嵐と交際をしているが、浩行のことも同じように大切に思う実和子。作中「浩くんも嵐も ほんとはどっちも同じだけ好きなの でもそれはいけないことなのかな」と紫に打ち明けているが、幼い頃から変わらない2人への想いが大人になるにつれて許されないものに変化していくことに戸惑っているようにも見えた。

 純真そのものに見える実和子だが、その本質は意外にも大人びており、浩行への劣等感から焦りや嫉妬を感じていた嵐をすべて理解したうえで許し、最終的にそばで支える決意をしている。

 焦りや劣等感を力に変えて夢に向かって頑張る姿や、2人の男性の間で揺れ動く実和子のリアルな気持ちは読者の共感を呼んだ。可愛いルックスだけではなく、実和子の芯の強さに憧れた女性も多いのではないだろうか。

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