■錯覚ではなく正真正銘デカい!『魁男塾』大豪院邪鬼

 これまで紹介した強敵たちはみな、キャラクターが放つ存在感や圧倒的な威圧感から、見ている者に“巨大である”と錯覚させる場面も多かったように思える。だがなかには、錯覚や気のせいではなく、本当に巨大なまま主人公と戦った規格外のキャラも存在する。

『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1985年より連載された漫画『魁!! 男塾』にて、主人公である剣桃太郎らの前に立ちはだかるのは、男塾を十余年に渡って支配する“男塾の帝王”こと、大豪院邪鬼である。

 荒々しい黒髪に太く凛々しい眉毛、筋骨隆々の肉体に学ランを纏った姿は、まさに荒くれ者たちが集う男塾の頂点に立つ風格だ。その初登場シーンはあまりにもインパクトが大きく、読者の度肝を抜いた。

 桃太郎らの前に現れた大豪院邪鬼は、なんと身の丈10メートルはあるであろう正真正銘の巨人だ。巨大な椅子に座り、5人がかりで担ぎ上げる瓶からビールを注いで飲むなど、人間離れした姿を見せつける。対峙した桃太郎とも、なんと刃渡り5メートルという規格外の剣を用い、激闘を繰り広げて見せた。

 説明上は大豪院邪鬼が作り出す気迫が見せる錯覚らしいのだが、さすがに描写に無理があったのか、のちの作品で「体を巨大化させる力を持っていた」という設定が加えられたほどである。

 

 古今東西、少年漫画にはさまざまな強キャラが登場するが、主人公らに立ちはだかるその圧倒的な存在感から、作中では“巨大な存在”として描かれがちである。

 しかし彼らの存在感の強さこそが、主人公らが乗り越える大きな壁として作用し、物語を何倍にも盛り上げ、面白くしてくれるのも確かである。少年漫画が生み出されるたび新たに登場する“ケタ外れの強キャラ”たちの姿や描かれ方も、読者の注目を集め、ワクワクさせる大きなポイントではないだろうか。

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