■他人の前では弱みを見せない

「暗黒武術会編」真っ只中の単行本7巻で、飛影は六遊怪チームの是流と対戦。火炎術者として圧倒的実力を持つ是流を相手に、飛影は魔界の炎を召喚。「炎殺黒龍波」を繰り出し、飛影は一瞬で勝利する。

 だが、魔界の獄炎を召喚した飛影の体も無事では済まず、右腕を犠牲にしていた。仲間の前ではポケットで手を隠して平然を装うも、戦いの後には1人岩場にうずくまり、腕の激痛に苦悶の表情を浮かべていた飛影。

 周囲に迷惑はかけられないとばかりに、ひっそりと痛みに耐える姿にシビれてしまう。1人で苦痛をこらえる姿は、彼のお兄ちゃん気質をばっちり表したシーンではないだろうか。お兄ちゃんとは影に隠れて耐えがちな生き物なのかもしれない!?

■妹に対する強い想いがあふれ出す!?

 外道の宝石商・垂金権造は、飛影の妹・雪菜の流す涙が“氷泪石”という価値ある宝石であることを知り、彼女を5年間も監禁。あらゆる苦痛を与えて涙を流させ、宝石を得ていた。

 雪菜を探しあて、垂金の屋敷に現れた飛影は登場時点からハンパなく顔が怖い。そのままぶち殺すかと思ったら、垂金の顔面に痛烈な右ストレートをお見舞い。そのとき飛影は「……殺しはせん」「貴様のうす汚い命で雪菜をよごしたくないからな」とつぶやく。

 この時点の雪菜は兄の顔を知らず、飛影も「幽助たちの仲間」と名乗っただけなのだが、怒りのあまり“ほぼ答え”みたいなセリフを漏らしている。相手が実の妹だけに、まさしく“ベストオブお兄ちゃん”といった態度。どれだけ離れていても、兄にとって妹は可愛くて仕方がないものなのだろう。

 さらに単行本の18巻には、氷河の国なんて滅んでしまえばいいと語る雪菜に、飛影は「甘ったれるなよ 滅ぼしたいなら自分でやれ」「生きてるかどうかも知れん兄とやらにたよるんじゃない」とお兄ちゃん目線でガチ説教する場面がある。

 この言葉は雪菜に刺さったようで「なんだか兄に会っても同じこと言われそうですね」と告げていた。氷河の国への飛影なりの復讐が終わっていたこともあり、これは雪菜の未来を思っての発言であることは間違いないだろう。

 たとえ誇張されなくとも、そこかしこに兄らしさがあふれている飛影の数々の言動。ぜひ本編を読み返して、お兄ちゃんとしての彼の魅力を再確認してみて欲しい。

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