10月28日から『冨樫義博展 -PUZZLE-』が開幕し、11月4日には4年ぶりに『HUNTER×HUNTER』の最新刊が発売される冨樫義博氏。さらに冨樫氏の名作『幽遊白書』がNetflixにて2023年12月に実写ドラマ化されるなど、こちらも注目を集めている。
『幽遊白書』は連載開始から30年以上経った今も多くのファンを魅了し続ける作品。作画、ストーリー、名ゼリフなど、どれをとってもひと言では語り尽くせない魅力があり、マンガ界屈指の名物キャラクターの宝庫でもある。
中でも、類い稀なる戦闘センスとクールな立ち居振る舞いで多くの読者をとりこにしてきたキャラクター・飛影の存在感はすさまじい。コミックス内で発表された公式のキャラクター人気投票では、2回連続で1位を獲得するなど、その実績は伊達ではない。
そんな飛影には雪菜という妹がいて、幽助、桑原、蔵馬、飛影というメイン4人の中で唯一の「お兄ちゃん」ポジションだということにお気づきだろうか。(蔵馬はのちに義弟を迎えるが…)
そこで今回は個人的に兄らしさが感じられた飛影の魅力が詰まった名シーンをピックアップ。「浦飯チーム唯一のお兄ちゃん」の勇姿にご注目いただきたい。
■体を張って幽助を冷静にさせる包容力
お兄ちゃんらしさを象徴する「面倒見の良さ」。まだまだ経験値の足りない幽助をさりげなくサポートする場面からは、飛影の兄気質がにじみ出ていることが多い印象だ。とくに「仙水編」が盛り上がりを見せる単行本15巻では、飛影らしいやりかたで幽助をフォローしていた。
桑原が仙水に拉致され、一人自転車に乗って追跡する幽助。そこを仙水の仲間である刃霧要が急襲する。刃霧の能力である「死紋十字斑」によって幽助が絶体絶命の危機を迎えたとき、刃霧を刺して救ったのが飛影である。
殺気立ち、すぐさま仙水を追いかけようとする幽助に刃をつきつけた飛影は「そんなザマで奴らを倒せるのか?」と挑発。この言葉にキレた幽助は、飛影と本気の殴り合いを始めた。
その後、10分も本気で戦ったのち、飛影は「安心したぜ……霊力そのものが弱まってるわけじゃなさそうだ」「久々に全力で暴れた気分はどうだ?」と笑みを浮かべる。
これらの言葉から、頭に血が上った状態で無策で強敵に向かおうとしていた幽助を落ち着かせる意図があったことが判明する。自分の体を張ってでも一旦幽助を冷静にさせるあたりに、兄のような面倒見の良さを感じた。幽助の無鉄砲ぶりは、兄気質を隠し持つ飛影と実は好相性なのかもしれない。