■血筋にあらがうも力の継承に失敗した巫女
続いては、洵と同じく倭国出身で神社の神主夫妻の養女である那々美(ななみ)。那々美が神社の跡取りとして、力を継承する儀式の様子が描かれる。
しかし、血筋の問題があり、儀式はうまくいかなかった。本来、神主夫妻には実の娘・美那代(みなよ)がいたが、作中ではすでに死亡している。那々美は美那代に「応援してね」と思いを馳せ、再度儀式に挑戦。そこで美那代の死霊が登場する。儀式を失敗させていたのは、那々美を疎んだ美那代だったのだ。
しかし、那々美は美那代の底知れぬ悲しさや怒りを知り、自分の体を美那代に明け渡した。こうして那々美は死亡し、エインフェリアとして魂を選定される。もちろん、那々美の体をもらった美那代は儀式を成功させた。一方通行の思いが描かれる、なんともやるせない結末のエピソードといえる。
■運命に翻弄され嫉妬に殺された貴族
最後に紹介するのは、ラッセンに住む貴族のベリナス。ベリナスは昔、奴隷として買われた使用人の阿沙加(あさか)を愛していた。しかし、立場の違いから想いを告げることはできず、ほかの女性と結婚。なお作中ではすでに死亡している。
ある日、レナスは屋敷が不死者(アンデッド)に呪われていることを感じ、ベリナスの屋敷におもむく。しかし、阿沙加は不死者に殺されてしまい、悲しむベリナスはレナスに救済を求める。ベリナスの要望に応じたレナスは、ベリナスを身代わりにして阿沙加をよみがえらせた。
レナスが屋敷を調べたところ、この事件は亡きベリナス夫人によって引き起こされたものだった。ベリナスと阿沙加の想いに気づいていた夫人は、嫉妬に狂い不死者と契約していたのだ。その代償に、夫人自身の命を差し出してまで。
よくある三角関係のもつれといってしまえばそれまでだが、登場したキャラクター全員が自分の気持ちを伝えられず、全員が不幸となる結末に終わった。
『ヴァルキリープロファイル』は死亡が前提のストーリーなので、全体的にもの悲しい雰囲気でゲームが進行する。鬱エピソードもあるが、この重厚感こそが本作の何よりの魅力なのではないだろうか。
どのようなストーリー展開になるのか気になる最新作『ヴァルキリーエリュシオン』。『ヴァルキリープロファイル』の移植とあわせて、楽しみに待ちたい。