■作者に忘れられてしまった!?『幽☆遊☆白書』雪村螢子
冨樫義博氏の『幽遊白書』は、『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて1990年から94年まで連載されていた人気マンガ。連載終了から30年近く経った今も多くのファンに愛され続ける名作で、2023年12月からはNetflixで実写ドラマが配信されることも決定している。
本作のヒロインである雪村螢子は、主人公・浦飯幽助の幼なじみで、彼とは相思相愛の仲という少年マンガの王道ともいえるキャラクターである。しかし、序盤はヒロインとして存在感を示していたものの、物語が進むごとに次第に影が薄くなっていってしまう。
特別な力を持たない螢子は戦闘で活躍することがないため、事件に絡めづらいというのもその理由のひとつだろう。敵に狙われたり、誘拐されたりすることはあったが、それも初期の頃だけの話である。
さらに螢子の不遇ぶりは本編の扱いだけにとどまらない。なんと彼女はメインヒロインという立場だというのに、完全版コミックスの表紙に登場していないのだ。しかも冨樫氏が“表紙イラストの作業が終わるまで気づかなかった”ことを明かしており、作者の中でも影の薄い存在だったのかもしれない。
才色兼備かつ品行方正、何をやらせてもそつなくこなすハイスペックな女の子にもかかわらず、ヒロインとしては少しかわいそうに思えてしまうキャラクターである。
今回はヒロインであるにもかかわらず、いつの間にか影が薄くなってしまった、ちょっとかわいそうなキャラクターたちを紹介してきた。だが当然ながら「影が薄い=魅力がない」というワケではなく、それぞれの魅力があることは覚えておいてほしい。間違っても、彼女たちの存在を忘れることのなきよう……。