■自分だけの武器を磨き続ける『ハイキュー!!』山口忠

ハイキュー!!』に登場する山口忠は、どちらかというと地味な印象のある少年である。烏野高校男子バレーボール部の1年で、ポジションはミドルブロッカー。身長は179.5cmと高めだが、ずば抜けた能力を持たなかったため1年の中で唯一スタメンではない。“クレバーブロッカー”の月島蛍とは幼なじみで、特に初期の頃は彼の後ろをついて回っている印象があった。

 しかし物語が進むごとに山口は成長を見せていくことに。彼はスタメンになれずとも決して腐らず、周りに置いて行かれないようにとジャンプフローターサーブの特訓を始める。同じくミドルブロッカーの日向と月島に勝つことはできないと受け入れたうえで、自分がチームのためにできることは何かを考えたのだ。

 その後インターハイでの青葉城西戦、彼はピンチサーバーとしてサーブを打つ機会を得るが、緊張でガクガク。ジャンプフローターサーブを失敗し、相手側に点が入ってしまう。さらに次の機会、春高予選の和久谷南戦では、1本目はギリギリ成功したものの、2本目ではジャンプフローターサーブを捨て普通にサーブを打つという選択をする。要するにビビってしまったのだ。

 しかし山口はそれでもめげずに努力を続け、ついに彼が覚醒する瞬間がやってくる。春高予選、因縁の相手である青葉城西との試合でのこと。彼は見事サーブを成功させ、5回連続で点を取ってみせた。この成功体験が転機となり、山口は選手として立派に成長していくことになる。

 ビビりの山口は自分と周りとの差を思い知り、それでも自分だけの武器を磨くためコツコツ努力することを選んだ。主役になれなくともがんばってきた彼が報われるシーンには、思わず胸がアツくなること間違いなしだ。

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