初代『機動戦士ガンダム』で初登場し、アムロ・レイの宿敵として描かれた人気キャラクターであるシャア・アズナブル。『機動戦士Zガンダム』ではクワトロ・バジーナを名乗り、主人公サイドの頼れるリーダー的なポジションで活躍する。
さらにその後を描いた映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では新生ネオ・ジオンの総帥として連邦政府に事実上の宣戦布告を行い、アムロとの最後の決戦に臨んだ。
そんなシャアはハンサムさ故か、作中では多くの女性との関係が描かれている。どの女性も曲者ぞろいではあったが、シャアと出会い、彼の魅力にひかれたことで彼女たちに転機が訪れるような描写も目立つ。そこで今回は、シャアとかかわったことで大きく運命が変わったと感じる、印象的な女性キャラを紹介していこう。
■都合の良い女ではいられなかった「レコア・ロンド」
『機動戦士Zガンダム』に登場するレコア・ロンドは、エゥーゴで兵器輸送や諜報活動を行っていた女性士官。シャアことクワトロ・バジーナとは、男女の間柄であったことがうかがえた。
レコアは芯が強く、落ち着いた女性といった印象で、カミーユたちへの接し方からもそういった点が垣間見える。一方で、ゲリラとして戦った経験があるからなのか、スリルを好む一面も持ち合わせており、「自分がギリギリのところにいないと、生きている気がしない」とも語っている。
強い女というイメージがある一方、本心では女性としての自分を求めてくれる男性に出会いたいと思っているような発言もあり、シャアに心の拠り所を求めていたように感じた。
しかし、そんなレコアの想いとは裏腹に、エゥーゴの指導者として多忙になっていくシャア。個人的にはシャアが「私はザビ家とは関係ない。私はいつも一人の男だった」とレコアに語った際、レコアが「いつも一人の……」という部分に引っかかっていたのが印象的だ。
シャアにそんな意図はなかったのかもしれないが、自分は一人の女と見られていないとレコアが受け取ったとしても不思議はない。そうした細かいすれ違いの末に、シャアの中に自分の居場所はないと悟ったレコアは、シロッコの元へと向かう。結局シロッコも彼女を都合よく扱い、戦争の道具にされてしまったわけだが……。
最期はティターンズの側で戦って命を落としたレコア。もしシャアと出会っていなければ、この悲劇的な結末は避けられたのだろうか。