昭和・平成・令和を彩った「パロディが秀逸だったギャグ漫画」の系譜!やりすぎて『北斗の拳』作者からストップが入ったケースも…!?の画像
昭和・平成・令和を彩った「パロディが秀逸だったギャグ漫画」の系譜!やりすぎて『北斗の拳』作者からストップが入ったケースも…!?の画像

 お笑いタレントが人気ドラマの再現シーンをコント仕立てにするパロディギャグがある。こうしたパロディとは、元作品の印象的なシーンやキャラなどを模倣するものだが、誰もが知っているものではないと分からないネタもある。そのため、パロディとして使われる頻度が高いということは、その作品の人気や知名度のバロメーターといえるのかもしれない。

 世間の認知度を得た『新世紀エヴァンゲリオン』を例に上げると、漫画以外にアニメやドラマでさえパロディであふれていた。アニメ『銀魂』でマダオ役の声優が碇ゲンドウ役と同じく立木文彦が務めていることからシーンが再現されたことがあったり、TBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』においてはエヴァ風の演出が各所に盛り込まれ、ナレーションを碇シンジ役の緒方恵美が担当するエピソードもあった。

 少年漫画に目を向けてみると、『北斗の拳』『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『ジョジョの奇妙な冒険』など多くの有名・人気作を生み出してきた『週刊少年ジャンプ』では、同誌作品をパロディに取り入れたギャグマンガが多かったように記憶する。

 そこで今回は、「少年ジャンプ」でパロディが秀逸だったギャグ漫画を、昭和・平成・令和の3世代からいくつか振り返りたい。

■「奇面フラーッシュ!」昭和を飾るギャグ漫画『奇面組』

 最初に紹介するのは新沢基栄氏による『奇面組』。『3年奇面組』『ハイスクール!奇面組』といった『週刊少年ジャンプ』での連載後、掲載誌を移し『帰ってきたハイスクール!奇面組』『フラッシュ!奇面組』などシリーズ化した同作。

 印象深いのは登場人物のダジャレ名前だろう。たとえば、主人公の「一堂零(いちどう れい)」は「一堂霧(きり)」や「一堂啄石(たくせき)」など、家族全員の名前を点呼すると朝礼のようになる。運動に秀でた「腕組」のメンバーは「雲童塊(うんどう かい)」や「亜切須腱(あきれす けん)」といった名前だ。また「婦組」の「子役締ひろ(こやくしまる ひろ)」や「松茂問代(まつも といよ)」は薬師丸ひろ子松本伊代、プロレス同好会の「長州力(ながす ちから)」はそのまま長州力のパロディだった。

 そんな『奇面組』では「ワラトルマン」シリーズをはじめ、さまざまなパロディネタが頻出した同作だが、元ネタからストップがかかるケースもあったようだ。

 同作には武論尊氏・原哲夫氏の漫画『北斗の拳』のパロディキャラとして「北殿軒戻樹(ほくとのけん もどき)」という空手部主将が登場したが、これについては新沢氏が過去にムック本でのインタビューで、作者承認のもと描き始めたものの、「そろそろやめてほしい」と頼まれたため退場となったことを語っている。

 俳優にアイドルに特撮まで、かなり自由度の高いパロディを行っていた『奇面組』。遊び心の裏にある気苦労を感じさせない、一流のギャグ漫画だったと言えるだろう。

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