■ノーヒントかつ即死の苦しさ
作業の厳しさもさることながら、やはり即死をしてしまうのがこのゲームの思い出でした。同作には「名声」というゲージがあり、それを「100」まで上げる必要があったのですが、それがまた辛い。
名声を上げるにはお金を払って試合をし、敵を一人倒すと「+1」され、負けると「ー1」となります。ようするに最低100回は試合をして勝たないといけないのですが、初見では間違いなく敵の飛び道具一発で即死します。
敵の飛び道具のダメージに耐えられるように強くなっても、敵本体に当たった瞬間に即死! 避けたりジャンプでかわしたりする必要は一切ない、というかできないので、敵を倒すには、飛び道具をくらった際の一瞬の無敵時間を利用して攻撃ゴリ押しで倒すことになります。
ここまでで難しい、理不尽、作業感、即死に次ぐ即死。と説明しましたが、触れたことがないと意味すら分からない思いますので、それぞれやる順番や意味などを、分かりやすくざっくりまとめますと、
1、おつかいでお金を増やす
2、装備やレベルを上げる
3、試合をする
4、名声が上がる
5、仲間を増やせる
6、各地域のボスを倒す
7、ラスボスを倒す
これが『ジャーヴァス』のクリアまでの道のりです。前情報もないまま、説明書を読んだだけでプレイしてもまずクリアはできないはず。当時、この激ムズ仕様の同作をクリアできた子どもはどれだけいたんでしょうか。
なお重要アイテムを入手するのもノーヒントで、あっても非常に抽象的なのがこのゲームのコンセプトだったのかもしれません。一番衝撃だったのが、「砂漠に一番近い海岸から北へ8秒」というヒントでしょう。そもそもその海岸の場所も分かりにくいし、まさかの「秒」。発売から35年たった今でも『ジャーヴァス』の名前を聞くと、この「北へ8秒」がすぐに思い浮かぶほど強烈でした。
このように全てが理不尽なゲームで、当時の多くのちびっ子を恐怖のどん底に叩き落とした『未来神話ジャーヴァス』。ワゴンに行くスピードはなかなかの速さで、980円か1980円ぐらいで買った子が多かったので、そこは救いでした。もちろん定価で買ってしまった子もいましたが……。
バックアップ機能をファミコンRPGとして初めて搭載したことはものすごいことですが、とにかく初を取りたいために細かいところまで詰めきれず制作を急ぎ過ぎてしまったのでしょうか。今なら、カセットのみなら数百円で購入でき、攻略サイトとセーブをうまく使えばクリアすることは出来ると思いますので、未プレイの方にはぜひ挑戦してほしいところです。