登場人物が異世界に転移・転生したりする作品はラノベ、アニメを問わず、一つのジャンルとして定着しつつあります。ファンタジー世界に現代知識を持ちこんだり、チート的な能力を得た主人公がひたすら無双するような内容がウケたのもありますが、逆にそういう側面ばかりが目立ってしまったばかりに、異世界ものを“食わず嫌い”をしてしまう人も少なからずいるようです。
しかし、ヒットした異世界作品には、それぞれのオリジナリティがしっかり存在し、“異世界”を抜きにしても特筆すべき面白い部分があります。そこで今回は「異世界モノはちょっと……」と先入観で嫌厭している方に向けて、今さらではありますが異世界モノの大人気の異世界作品の独特の面白さについてご紹介したいと思います。
■『この素晴らしき世界に祝福を!』
『この素晴らしき世界に祝福を!』、略して『このすば!』などと呼ばれているのは、暁なつめ氏によるラノベ作品。アニメ化されてさらに人気に火がつき、劇場映画にまでなっている人気作です。
同作は数ある異世界モノの中でも、コメディ路線に突き抜けているのが特長。異世界が舞台でありながら主人公がチート能力で無双するわけでもなく、ひたすらオモシロおかしい日常生活が描かれ、何も考えずに純粋に笑える作品となっております。
この作品の主人公・カズマ(佐藤和真)は、元引きこもりのニート。異世界ものだと、転生や転移をきっかけに別の人生を謳歌する展開がおなじみですが、カズマは良くも悪くも自然体。主人公でありながら、仲間からは「クズマ」などと呼ばれるくらい、カスでスケベ、ゲスな性格を隠そうともしません(根は善良なお人好しですが…)。
さらにカズマの仲間もかなり尖った面々ばかり。カズマを転生に導いた本物の女神ながら、グータラで性格に難ありなアクアを筆頭に、中二病の魔法使い・めぐみん、妄想激しいドMなクルセイダー・ダクネスなど、それぞれ能力は高いのにいろいろと残念すぎるポンコツたちです。
いわゆるチート持ち主人公が無双したり、女の子たちとイチャイチャするような異世界モノとは一線を画す、ギャグ要素満載の作品として『この素晴らしき世界に祝福を!』はオススメです。