■『転生したらスライムだった件』

　伏瀬氏による『転生したらスライムだった件』はラノベが人気になったあと、コミカライズも大ヒット。２０２２年には、同作の漫画版が「第４６回講談社漫画賞」の少年部門を受賞。テレビアニメも人気を集めました。

“転スラ”の愛称で知られる同作は、主人公が無双する異世界作品の代表格のように語られがちですが、まさにその通り！　もともとはサラリーマンだった主人公は異世界に転生、リムルとなって、とてつもないチート能力を手にして成り上がっていきます。

　アニメなどのビジュアルイメージでは、リムルは女性っぽい人間のような容姿をしていますが、その正体は実はスライムが擬態した姿。異世界で最弱クラスの魔物スライムに転生した主人公が、どんどんと力をつけていく過程が爽快で楽しいです。

　異世界で得たチート能力で主人公が無双する展開に、抵抗がある人は少なからずいると思いますが、人間ではなくスライムだと思うと、少々受ける印象が変わります。また、リムルの周囲にはいろんな美少女キャラも登場しますが、スライムになったリムルには性が存在しないため、ハーレムもののような生々しさを感じずに済むのも特徴です。

　異世界転生ものでは定番の要素をたくさん含みつつ、その魅力を内包しながら、ふつうのエンターテイメントとして昇華されているのが『転生したらスライムだった件』です。先に紹介した『このすば！』や『リゼロ』などを見て、異世界モノの作品に興味を持った人なら受け入れやすい人気作と言えるのではないでしょうか。


　今回は超有名な作品に絞ってご紹介しましたが、異世界モノには魅力的な作品がまだまだたくさん存在します。今回紹介した作品をきっかけに、先入観だけで異世界モノを嫌厭していた方が少しでも減り、いろんな良作に触れる契機になっていただけたらうれしく思います。

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