2022年7月で連載開始から25年を迎える、尾田栄一郎氏による人気マンガ『ONEPIECE(ワンピース)』。6月7日には尾田氏が約1か月の休載期間をとることが発表され、いよいよ始まる最終章に向けて準備を整えるという。
7月25日発売の『週刊少年ジャンプ』(集英社)での連載再開まで待ちきれないファンは、この間に過去のストーリーを読み返すケースも多いことだろう。そんなわけで今回は現在の最新話から少し離れて、心が温まりクスッと笑えるような、ウソップのウソエピソードを振り返ってみたい。
※以下には、コミック『ワンピース』の一部内容が含まれています。ストーリーを解説するのが本記事の主目的ではありませんが、漫画およびアニメをまだご覧になっていない方、意図せぬネタバレが気になる方はご注意ください。
■「海賊が攻めてきたぞーーーっ」から始まるウソの物語
第23話で初登場したウソップの「海賊が攻めてきたぞーーーっ」というウソが、印象に残っているファンも多いのではないだろうか。
それはウソップがまだ麦わらの一味に加わる前のこと。当時ウソップが暮らしていたシロップ村で、毎朝村を駆け回りながら「海賊が攻めてきたぞーーーっ」とウソをつき、村一番のホラ吹きと言われていた。しかしルフィたちが滞在中、このウソップのついていたウソが、本当のことになろうとする。
黒幕は村一番の大富豪に仕えていた執事。“クラハドール”と名乗っていた男の正体は、元海賊のキャプテン・クロで、かつての手下を呼び寄せ、富豪の跡取り娘・カヤを事故に見せかけて殺して財産を奪おうと画策していた。
クラハドールの企みを知ったウソップは、明日本当に海賊が攻めてくることを告げて回るが、村人からは信じてもらえない。仲良くしていたカヤにもクラハドールが悪党であることを伝えたが、信用してもらえず……。まさに『イソップ物語』のオオカミ少年のような状態になってしまう。
そしてウソップは、知り合ったルフィたちの前で「この一件をウソにする」と宣言。要するに海賊たちが村に来る前に撃退し、この一件をなかったことにするという作戦だった。このウソップの言葉を聞いたルフィたちも協力し、村を狙う海賊との激闘が始まった。
ウソップは、海岸に上陸してきた海賊たちと戦い、血まみれになりながらも「お前らを通す訳にはいかねェ……!!!」「おれは、いつも通りウソをついただけなんだから!!!!」と粘りを見せ、「村ではいつも通りの1日が始まるだけなんだから」と故郷の平穏を何より願っていた。
その言葉からは、自分の生まれ育った村が大好きだから、自分がウソつきと思われたままでも守り抜きたいという強い意思が感じられる。人を笑わせたり、楽しませたり、奮い立たせるような優しいウソをつくウソップに、感動させられたファンは多いはずだ。
ちなみにウソップが毎朝「海賊が来た」とウソをついていたのは、海賊になって村を飛び出した彼の父が迎えにくるのを願ってのことである。