■「敗因はこの私!!」
インターハイへの最後の椅子をかけた湘北と陵南の試合。安西先生が不在の中、激闘を戦い抜いた湘北は70対66の僅差で陵南に勝利する。
試合後、記者から「敗因は何だったんでしょうか?」と質問された陵南の田岡監督は、予想できなかった湘北の選手たちの活躍を称賛しつつ、さらに「敗因はこの私!!」「陵南の選手たちは最高のプレイをした!!」と堂々と語った。
負けた相手を讃え、自らの非を素直に認める。そして、大切な教え子たちの盾となって守り抜くシーンは、今あらためて読んでも純粋に感動させられる。とくに大人になった今、田岡監督のような潔い態度を示す“大人”をあまり見かけないからかもしれない。
作中では、負けず嫌いで子どもっぽい一面を見せてきた田岡監督だが、そんなところもひっくるめて愛すべき人間であり、素晴らしい監督だと思えた場面である。
大人になって『SLAM DUNK』を読み返すと、なぜか若い頃よりも監督の言葉が胸に刺さる気がする。それは単純に監督の年齢に近づいたこともあるだろうし、「こんな大人になれているのだろうか」なんて、ふと考えてしまうからかもしれない。