■すべてを投げ出して一瞬に勝負をかけたゴン
じゃんけんを元にした「ジャジャン拳」の技を使用するゴン。グーで強烈なパンチを繰り出し、チョキでオーラを剣のように扱い、パーでオーラの塊を放出する3パターンの使い分けができる。手にオーラを集めるため、他の箇所の防御がもろくなるが、優れた身体能力を持つゴンにはそこまで大きなリスクではないのかもしれない。
ところが、ネフェルピトーからカイトがすでに死んでいると告げられたとき、怒りのあまりにゴンは新たな能力を開花させる。「もうこれで終わってもいい」というゴンらしからぬセリフとともに髪の毛は天に向かって高く伸び、12歳の少年の姿から驚異的な肉体成長を遂げた。
対峙したピトーは「強制的に成長したんだ」「ボクを倒せる年齢まで」と驚嘆。心配して駆けつけたキルアが目撃したのは、圧倒的に格上の存在だったピトーを一方的に蹂躙するゴンの姿だった。
このゴンの能力について、ピトーは「二度と念能力が使えなくなってもいい!! それ程の決意と覚悟でなければ不可能」と推察した通り、その能力を行使した代償はすさまじく、ゴンは生命維持装置が外せない意識不明の状態に。
無言でベッドに横たわるゴンの腕は干からびたミイラのようになっており、ハンター協会の除念師ですらさじを投げるほどの強力な対価を支払うこととなった。
このように『ハンター×ハンター』の念能力には、大きすぎる能力ほど厳しいリスクがつきまとう。現在は休載が長く続いている状況ではあるが、いまだにキチンと語られていないカイトの能力や、命をつなぎとめたものの念能力が使えなくなったゴンの物語の続きが描かれるのを気長に待ちたい。