■キャラクターの数だけある“セッター道”
この他にも『ハイキュー!!』ではキャラクターの数だけ“セッター道”がある。
高校No.1セッターの実力を誇る稲荷崎高校・宮侑は、上げづらいボールにも素速く滑り込みオーバーハンドによる丁寧なセットアップを見せる。
「アンダーは腕2本 オーバーは指10本 よりいっぱいのモンで支えたんねん セッターやもん」
お調子者で高圧的な側面もある宮だが「スパイカーに対して誰より真摯で献身的」な姿勢には目を見張るものある。
一方、音駒高校の円陣において、キャプテン・黒尾鉄朗はこう唱える。
「俺達は血液だ 滞り無く流れろ 酸素を回せ “脳”が正常に働くために」
これは、セッター孤爪研磨を音駒の頭脳に据え、隙のない守備と幅広い攻撃で相手チームを翻弄する同校の戦略を象徴している。
さらに、梟谷学園高校・赤葦京治は「重要なのは常に『次自分にできる事とすべき事』」だと気付く。先輩たちの引退がかかった試合、普段以上にプレッシャーを感じる場面で赤葦は「“いつも通り”の供給」をしようと腹をくくり、「タスクフォーカス」の姿勢を貫いた。
作者の古舘春一氏が意識しているように、セリフひとつひとつが、“わかりやすく”“感動し”“かっこいい”。キャラクターたちの美学や信念がさりげなく滲み出た本心からの言葉だからこそ、読者である我々の心に深く大きく響くのである。
『ハイキュー!!』キャラの生き様、考え方を、ぜひ仕事に活かしてみたらいかがだろう。きっと彼らが、見守り導いてくれるのではないだろうか。