■青葉城西高校3年生・及川徹「味方の100%を引き出してこそのセッター どんな選手だろうとも」

 インターハイ予選3回戦、主人公・日向属する烏野高校が対決したのは「チームの強さ」で「コートを制す」宮城県ベスト4の青葉城西高校。

 中学時代、天才の存在に独りでもがき苦しんでいた及川徹に対し、小学生のころから同じバレーのクラブチームで切磋琢磨してきた相棒・岩泉一はチームの大切さを説く。

「てめえ一人で戦ってるつもりか 冗談じゃねーぞボゲェッ」
「“6人”で強い方が強いんだろうが ボゲが!!!」

 烏野高校の烏養コーチはセッターを「オーケストラの“指揮者”」にたとえて、「同じ曲 同じ楽団でも“指揮者”が代われば“音”が変わる」と説明する。セッターとしての及川は、青城の個の力を100%活かすことでチームを導く、まさしく最高の指揮者だった。

 もちろんその根底には、日々の仲間との積極的なコミュニケーション、個々の最大パフォーマンスを引き出すための優れた洞察力、さらに味方の長所を活かせるだけの自らの技術を磨くたゆまぬ努力がある。

「味方の100%を引き出してこそのセッター どんな選手だろうとも」

 これが及川徹のセッター論だった。一朝一夕では到達し得ない青葉城西高校のチーム力からは、日々積み上げられた厚い信頼が伺える。互いが互いを理解しあい、協奏曲を奏でるかのように力を引き出しあうチームというのは、突出した才能にも対抗しうる最強の布陣ではないだろうか。及川の観察眼、そして信頼関係の構築力はぜひ仕事に活かしたいものだ。

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