■左回りの法則【コミックス第2巻】
一部の『ハンター×ハンター』読者の間で、いつからか「クラピカ理論」という言葉が用いられていることをご存知だろうか。これは言うまでもなく、作中でクラピカが語ったうんちくがきっかけになっている。
そのシーンが登場するのは、コミックス第2巻に収録されている「ハンター試験」の第三次試験でのこと。トリックタワーという塔の頂上からスタートし、制限時間内に下まで降りてくるという内容だった。
ゴンはクラピカらと5人1組になり、多数決を行いながらゴール地点を目指すという試練に臨む。その道中、左右に分かれたルートのどちらかを選ぶシーンが登場。このときクラピカは「人は迷ったり未知の道を選ぶ時には無意識に左を選択するケースが多いらしい」と、行動学に基づくという知識を披露した。
だからこそ、左の道には難易度が高い試練が用意されている可能性が高いと予想し、結果的にゴンたちは右のルートを選択している。
現実の心理学でも「左回りの法則」というものがあり、人は左周りに進むほうが安心感が得られやすいとされている。この法則が活用された身近な例で言えば、スーパーマーケットやコンビニなどの動線や、陸上のトラックなど。実際の売り上げや、トラックを走るタイムにも影響するようだ。
『ハンター×ハンター』はもちろん現実とは異なる世界を舞台に描かれたフィクションだが、その中にノンフィクションのマメ知識が巧みに織り交ぜられている。奥深いストーリーを楽しみながら、ためになる情報まで得られるのだから、すごくお得な作品といえるのかもしれない。