■敵キャラを仲間にして夢の海賊団を作れる
グラフィック面だけでなく、同作を語る上で欠かせないのがタイトルにもなっている通り「夢の海賊団」を作れるというところだろう。
麦わらの一味に出会う途中で、「アルビダ」や「バギー」や「モーガン」といった初期に敵キャラとして登場したキャラクターなどを仲間にすることができ、パーティに組み込むことができたのだ。私は当時キャプテン・クロが好きで、このゲームでも常にパーティに加えていたが、敵として戦ったキャラと共闘するなんて、これ以上ない熱い展開ではないだろうか。
今では絶対にプレイアブルキャラにならないであろう、ウソップ海賊団のメンバーである子どもたち「ピーマン」「にんじん」「たまねぎ」や、オレンジの町で出会った犬「シュシュ」などもパーティに加えられた。さまざまなパーティを組んで、自分だけの海賊団作りを楽しんだという人も少なくないだろう。
またストーリー進行も自由度が高く、マップ上に表示されるストーリーを好きに選択して進んでいく。進め方によっては選べないストーリーも出てくるため、周回プレイをしてすべてのストーリーをプレイしたものだ。
自分の好きなキャラを集めた海賊団を作り、自分が好きなようにストーリーを進める。「サンジ」と「ギン」や、「ゾロ」と「ヘルメッポ」を同じパーティにするなど“もしも”のワンピースが楽しめるゲームだったのだ。
■キャラの個性を活かした戦略性が楽しい
またシュミレーションゲームであるからこそ、各キャラの個性をうまく表現できていたのも魅力だったように思う。たとえばルフィの必殺技である「ゴムゴムのピストル」なら遠く離れた敵にもダメージを与えられ、「ゴムゴムのムチ」は前方複数コマにいる敵にダメージを与える。そのほか固有の必殺技があり、またキャラの組み合わせにより発生する技などもあった。]
なお「悪魔の実」の能力者であるルフィは、海のマスに入れない。そのため、海のマスが多いアーロン戦では、意外とルフィが手持ち無沙汰になってしまい、他のメンバーが主力になってしまうといったことも起きた。そういったキャラそれぞれが持つ個性も考えながら、うまく立ち回れるパーティを組む楽しさも、このゲームにはあった。
これまで数々のゲーム作品が発売されてきた『ONE PIECE』だが、格闘ゲームやパーティゲーム、麦わらの一味が操作キャラになっているゲームがほとんどで、敵キャラを仲間に加えてパーティを組むゲームは非常に珍しかった。
物語が佳境に突入し、21年前よりもキャラ数がグンと増えた今。敵キャラやサブキャラたちが総登場する『ONE PIECE 夢のルフィ海賊団誕生!』と同じシステムのゲームが発売されたら、かなり楽しめそうだ。