■戦争に明け暮れた「獅子心王」を操れた

 モンゴル高原を統一したら、次はもちろん世界編である。

 だが、この世界編はゲーム冒頭の選択肢から選ぶこともできる。その場合は全27か国の中の4か国(モンゴル、イングランド、ビザンツ帝国、日本)でプレイする。開始年は1205年冬。

ファミコン版『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』プレイ画面より

 モンゴルの君主は、他でもないチンギス・ハーン。日本は2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』にも登場する源頼朝、イングランドは「獅子心王」リチャード1世、ビザンツ帝国はアレクシオス3世だ。

 この時代のユーラシア大陸では、東も西も大激闘が発生していた。リチャード1世はその異名の通り、戦うことが三度の飯より大好きな王様。10年の在位の中で6か月しかイングランドにいなかったほど、遠征に明け暮れていたのだ。

 第3回十字軍では、リチャードがその中心的役割を担った。十字軍と戦ったアイユーブ朝の記録にも、リチャードが「勇猛果敢な騎士」という具合に書かれている。

 実は1205年、リチャードは既にこの世の人ではなくなっているが(戦争好きがたたって負傷し、それが原因で死亡)、『蒼き狼と白き牝鹿』ではプレイヤーに感情移入してもらうために敢えて史実を曲げているようだ。1199年に落命している源頼朝に対しても、同様の配慮がされている。

 ちなみに、アレクシオス3世は1205年には存命だったが、ビザンツ帝国は一時滅亡していた。第4回十字軍に攻め落とされたのだ。ビザンツ帝国の皇族たちは各地に亡命政権を樹立させ、首都コンスタンティノープルの奪還に60年近い時間をかけたのだった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3