今から33年前となる1989年4月20日はファミコン用ソフト『蒼き狼と白き牝鹿・ジンギスカン』(光栄)の発売日である。
「歴史三部作」として当時の光栄が『信長の野望』『三國志』に並んで力を入れていた同シリーズ。『信長の野望』が日本列島のみ、『三國志』が中国のみということを考えると、13世紀のユーラシアを舞台にしていた『蒼き狼と白き牝鹿』シリーズがどれほど広大なエリアを扱った作品だったか。しかもゲームの中で「チンギス・ハーン(ジンギスカン)VS源頼朝」という夢の対決を実現することまで可能だった! この骨太すぎるゲームの魅力をあらためて振り返ってみたい。
■「モンゴル編」と「世界編」に分かれるシナリオ
「ユーラシア大陸の覇者」として世界史にその名を刻んだチンギス・ハーンだが、彼の人生の半分以上は「モンゴル統一」に追われていた。
チンギス・ハーン登場以前、今のモンゴルに該当する地域では諸部族が鎬を削っていた。当時は「テムジン」という名前だったチンギス・ハーンは、40歳を過ぎる頃までモンゴル高原のみでの紛争に明け暮れていた。言い換えれば、その頃までは世界進出どころではなかったということだ。
テムジンの最大のライバルは、ジャダラン氏とその軍勢を率いるジャムカである。テムジンとジャムカの対決は、後世幾度も小説や映画、ドラマの題材になっている。日本人にとっての「関ヶ原の戦い」と言えば分かりやすいだろう。
『蒼き狼と白き牝鹿』でもそのあたりはきちんと再現されている。このゲーム、「モンゴル編」と「世界編」にシナリオが分かれていて、前者は1174年冬からスタートする。この時代のテムジンは、弱小部族に属するひとりの少年に過ぎない。が、ここから偉大なるハーンの物語が始まるのだ!