■飛影が送った粋すぎる誕生日プレゼント
最後は、魔界統一トーナメントが終わったあとに描かれた躯(※原作のムクロの漢字と異なります)と飛影の会話シーン。飛影ファンにとってはたまらない名セリフが飛び出したエピソードだ。
魔界編で飛影をスカウトした魔界三大妖怪のひとりである躯。現在の実力は最強クラスだが、奴隷商人・痴皇の娘として育ち、幼少期から奴隷として肉体を改造されるなどひどい虐待を受けていた。痴皇を恨む気持ちがあるが、彼女が父に殺意を覚えると、その瞬間に「父から愛情を受けて育った」というニセの記憶が蘇るよう復讐防止の細工を脳に施されていた。
その仕組みを暴いたのが飛影。飛影は痴皇を捕縛し、体に魔界植物「ヒトモドキ」を植えつけた。ヒトモドキは寄生した者の怪我を治す植物で、そのため痴皇は、脳が破壊されない限り何をされても死なない体となっていた。飛影は鉢植えに立たせた痴皇の足に剣を突き立て、これを躯にプレゼント。
「好きなだけ切り刻め。気がすめば殺したらいい」
「ハッピーバースディ」
描写や内容は残虐だが、飛影が幽助や雪菜以外のために行動したこのエピソード。躯も飛影も満足そうに微笑んでおり、2人の特別な間柄を感じられる。通常のフォントではなく、フキダシに手書きで描かれたこの「ハッピーバースディ」こそ、冨樫義博にしか書けない珠玉の名セリフと言えるだろう。
飛影は強くて孤高の存在のように感じられるが、セリフを振り返ってみると実は仲間想いな性格であることがよく分かる。邪王炎殺黒龍波のような強力な技だけではなく、人間性も飛影の魅力だ。