今からちょうど37年前となる1985年1月30日に発売されたファミコンソフト『アイスクライマー』(任天堂)。「時折現れる敵を倒しつつ上へジャンプして進む」という現代から見ればシンプルな内容ながら、ひと言では言い表せないほどの味とコクが詰まっていた。2人同時プレイは友だちとの連携を試される要素でもあったが、最悪このゲームのせいで友情が木っ端みじんに破壊される面も持ち合わせており、懐かしい思い出があるという人も多いのではないだろうか。
■高等テクニックを必要とする山登り
『アイスクライマー』は、エスキモーのポポとナナを操作して山頂を目指すゲーム。ポポとナナは大きなハンマーを持っていて、これで敵を倒したり階層を隔てるブロックを破壊する。
アクションゲームに慣れた子どもなら、3面ぐらいまでなら楽勝だろう。だが、4面以降はだんだんとステージ構成が意地悪になっていく。動く雲やベルトコンベアになっているブロック、破壊不可能のブロックなどが絶妙に配置され、しかも幾重にも並べられている。1回のジャンプでは進行方向をはばむブロックを壊し切れないこともあった。
たとえば、動く雲の上に乗りながら頭上のブロックをジャンプして壊す。だが、そのブロックが2重になっている。つまり、一番下の階層から足場に飛び移ってジャンプ&ブロック破壊を最低2回やらなければならないということだ。しかも1個のブロックの幅は非常に狭いから、それをすり抜けて上階に移動するのはまさに高等テクニック。
さらに、せっかく空けた穴もグズグズしているとトッピー(アザラシのような見た目の敵キャラ)に修復されてしまう。すると当然ながら、最初からやり直し。しかもこのゲームにはある種の時間制限があり、モタモタしているとサングラスとパンツ姿のシロクマが出現して強制スクロールされてしまう。『アイスクライマー』はスクロール後の階層に落ちるとミスになってしまう仕様だ。
こんなこともある。ジャンプで動く雲に飛び移ろうとして失敗し、先ほど自分が空けた穴に落ちてスクロール後の奈落にドボンしてしまう……という展開だ。これで心砕かれた子どもは、数え切れないほど存在したはず。