■役割を認識し自己研鑽を続ける

 かつて世界を救った勇者アバンは、ハドラーとの死闘の末に自己犠牲呪文「メガンテ」を使用。それによって死んだと思われていたが、フローラから渡された「カールの守り」が身代わりに砕け散り、生存していた。

 すぐに弟子のダイやポップと合流することもできたが、己の無力さが許せなかったアバンは、あらためて心身を鍛え直すことを決断。もっとも得意とする破邪の魔法を極めるため、伝説の「破邪の洞窟」で修行を行っていたのが行方知れずだった真相だ。

 過去のアバンの実績を考えたら一線を退き、弟子たちの後方支援に回っても誰も文句は言わないはず。それなのに一番過酷な場所に身を置き、弟子たちに役立つ力を得たうえで最終決戦に加わったのは、アバンという男の飽くなき向上心の賜物といえる。

 現代においても権威を笠に着る人より、つねに努力をし続ける人物のほうが敬意を持たれるのと同じことだろう。

 こうしたアバンの育成術はマンガというフィクションの産物ではあるが、現代社会においても通じる部分がいくつもありそうだ。

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