■『メトロイド』もディスクシステム発のタイトル

 1986年8月6日発売の『メトロイド』も、当初はディスクシステム専用ソフトだった。プレイヤーはサムスを操作し、まるで迷路のようなエリアを探索していく。もちろん道中には敵も出現する。当初は冗談のような火力のビームしかなくて難儀するが、いろいろと探検していくうちにミサイルや丸まりといったアイテムが見つかり、移動できるエリアも広がる。

『メトロイド』プレイ画面より

『ゼルダ』の見下ろしビューとは違い、『メトロイド』は横スクロール。したがって、マップの全体把握は『ゼルダ』よりも難しかった。が、ここでも難易度は子どもたちの議論のテーマとして昇華する。また、全クリに要した時間によってエンディングが異なるのも『メトロイド』の大きな特徴で、今で言う「タイムアタック」に挑戦した子どもたちも少なくなかった。

『メトロイド』プレイ画面より

 今の視点で初代『メトロイド』を見ても、世界観の奥深さやマップの複雑さに驚かされてしまう。これらもディスクシステム特有の大容量があればこそだったのだ。

■子どもたちに「コンピューターの基礎知識」を教える

 商業的には大成しなかったディスクシステムは、日本の子どもたちにコンピューターの基礎知識を教えることに成功した。

「記憶媒体の容量が大きくなれば、具体的にどのようなことができるのか?」ということを容易に想像できる人がいる一方で、そもそも「記憶媒体に情報を収める」という概念を持たない人もいる。そのような原因で発生する情報格差は、過去の経験の有無によるものが大きいのではないか。

 ディスクライターを使ってソフトを書き換えるという経験があれば、現代の「ダウンロードとインストール、アンインストール」の概念にも難なく対応できるというもの。「セーブとロード」の概念も同様だ。我々現代人が上村教授からもらったものはきわめて大きい。

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