『ゼルダの伝説』『バレーボール』『メトロイド』上村雅之教授が産んだ、ファミコン『ディスクシステム』発の名タイトルを振り返るの画像
画像はファミコンディスクシステム用ソフト『バレーボール』(編集部撮影)
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 2021年12月6日、立命館大学映像学部客員教授の上村雅之氏が亡くなった。上村教授といえば、任天堂の技術責任者としてファミリーコンピューターの開発を主導し、1986年2月21日に発売された『ディスクシステム』の開発にも携わった人物。このディスクシステムはあまりに画期的・前衛的で、従来型ROMカートリッジの進化も相まり日本中の家庭に普及するには至らなかった。だが、上村教授のディスクシステムがコンピューターゲーム史に多大な影響を与えたことは間違いない。

■複雑なダンジョンに誰もが驚愕した『ゼルダの伝説』

 ディスクシステムは、ディスクカードという記憶媒体を使用する。このディスクカードを、ゲームショップなどに置かれたディスクライターという装置を使ってソフトの書き換えができたのだ。

 この話を今の若者にしても「だから?」としか返ってこないだろうが、1986年当時の子どもたちの誰もが目を輝かせた販売形式だった。しかも、ソフトの書き換え代は、カセットを買うよりもはるかに安い500円。そのうえ、ディスクカードは「大容量」という触れ込みもあり、より複雑なゲームを作ることが可能に。

 ディスクシステムのローンチタイトルとして発表された『ゼルダの伝説』は、大容量ゲーム時代の始まりを象徴するものでもあった。

『ゼルダの伝説』プレイ画面より

 12月27日に放送された『国民5万人がガチ投票!テレビゲーム総選挙』(テレビ朝日系)では『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』が見事1位に輝いたが、ディスクシステム用ソフト『ゼルダの伝説』はシリーズの第一作目にあたるタイトル。その後のシリーズでおなじみとなる、剣と魔法の世界を舞台にしたアクションRPGで、「ダンジョンをどのように進んでいくか」というパズル的楽しさがすでに詰め込まれていた。しかも、このダンジョンが今までの同ジャンルゲームを凌駕するぐらいに広大かつ複雑で、初見ではまずクリアできない。だが、その難しさがあったからこそ、「友だちと攻略情報を共有する」という楽しみ方ができたのだ。

『ゼルダの伝説』プレイ画面より

 小学校の休み時間にクラスメイトと『ゼル伝』についていろいろと語り合い、このダンジョンはこう行けばクリアできる、いやいやこうやればもっと効率がいい……と議論した人は多いのではないだろうか。大容量の記憶媒体に収録されたゲームだからこそ、このような交流にも華が咲く。それは同時に、コンピューターゲームが「頭脳を使う娯楽」として昇華した瞬間でもあったように思う。

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