■「ハラハラのこぎり」(メカノス工場のしま)
下からせり上がってくるノコギリから逃げつつ、はるか上のゴールを目指す「ハラハラのこぎり」。いわゆる強制スクロールタイプのステージで、プレイヤーは木の中をとにかく登り続けなくてはならない。
つねにノコギリに追われ続けること、そのノコギリが木を切る際に発する「ギコ、ギコ」という不気味な効果音が相まって、トラウマになったプレイヤーも多いことだろう。
『スーパードンキーコング2』の「どくどくタワー」の“毒”と同様、下から危険物が迫ってくるステージ構造は一緒。だが物理的にギザギザの刃が上がってくる「ハラハラのこぎり」の恐怖感は比較にならない。
ノコギリの刃の表面にある凹凸、木を切る際に飛び散る“おがくず”まで忠実に表現されていて、そのリアルなグラフィック描写が恐ろしさを一層際立てていた。
ノコギリから一刻も早く逃げようと焦ってしまい、道中の敵に接触することはよくあるものの、そこを除けばステージ自体の難易度はあまり高くない。良くも悪くも、初見のインパクトに集約されているのが救いだった。
■「狙われたスクイッター」(ゆきやまK3)
アニマルフレンドの1人であるクモの「スクイッター」となって攻略するステージ。プレイヤーが謎の照準に狙われ続けるギミックが特徴で、一定間隔で照準に向かって弾が発射される。これに被弾しないよう照準の位置に注意しながら、コースの先へと進んでいかねばならない。
「狙撃から逃げ続ける」と聞くと難しそうに思えるが、弾が発射される瞬間は照準の動きが止まるので、こちらが動き続けていれば被弾することは少ない。発射直前には警告音も鳴るため、わずかではあるが準備する猶予もある。
個人的には、このステージは難易度の高さというより、ずっと誰かに狙われ続けることへの“違和感”のほうが強烈。『スーパードンキーコング』シリーズでは、ワニやハチ、鳥といった動物が明確な敵として出てくるが、「狙われたスクイッター」の狙撃手は最後まで何者か分からない。えたいが知れない敵という点がとにかく不気味だった。
ギミックはゲームのシステムなので、メタ的な視点から「狙撃手は人間なのでは」とも当時は考えた。だとするとコングたちの世界にそもそも人間はいるのか、どうして銃があるのかなど、いろいろ不思議に思ったものだ。
ちなみに、ここのボーナスステージではプレイヤーのほうが狙撃手となって敵を倒すことができる。2Dアクションだった本作が一転、このときだけは一人称のシューティングゲームになり、ひと味違う『スーパードンキーコング3』が楽しめる。このボーナスステージを遊ぶためだけに、クリア後もステージに挑んだのが懐かしい。