『鈴木先生』で知られる武富健治氏が『漫画アクション』(双葉社)で連載中の『古代戦士ハニワット』は、謎の土偶(コードネーム・ドグーン)と、ヒーロー・ハニワットの戦いを描くバトルアクション。2018年に連載がスタートしたが単行本の売上が奮わず、単行本7巻の発売を控えた2021年5月に武富氏が打ち切り決定を告白したツイートを投稿した。しかしそのツイートをきっかけに連載継続を望む声が多数上がり、原画展や書店でのフェアが開催。書店での売上増加につながり、全巻の重版が決定し、連載が継続する流れとなった。
そこで今回は復活劇の裏側について、武富氏と担当編集者・劔持聡人氏にインタビューを実施。また、連載続行の決定に一役買った紀伊國屋書店新宿本店でのフェア担当者にも、話を伺った。
■「第2の代表作にしないと」という意気込みと打ち切り宣告
──『古代戦士ハニワット』(以下『ハニワット』)は2018年に連載がスタートしました。物語の着想と、連載開始までの経緯を伺えますか?
武富健治 小学生のときに『大魔神』などの映画に刺激を受けて描いたマンガが始まりでした。大学生ぐらいのときに他社に持ち込んだものの掲載には至らなくて寝かせておいたんですが、『鈴木先生』連載の終わりぐらいに当時の担当編集と次回作について話し合った結果、『ハニワット』を連載することとなりまして。初連載作となった『鈴木先生』は映像化もしていただいたんですけど、部数が伸びなかったことが僕のコンプレックスになっているんです。だから『ハニワット』では「マンガ好きの人も、マンガをあまり読まない人もかっさらっていくぞ!」というのが、そのときの誓いでした。
──そうだったんですね。
武富 実のところ、いくつか他社のお仕事を受けていたので、双葉社には『ハニワット』がスタートするまでに10年近く待っていただいているんです。双葉社は『鈴木先生』で僕に初めての連載とヒットを与えてくれた会社なので、僕にとっては親同然。お待たせした分、「これは僕の第2の代表作にしないと」と意気込んでいたので、第1話は時間と手間をかけて作りました。いろんな人に読んでいただけるよう、特撮寄りのマンガにありがちな閉じた感じを出さないように苦労していたんですが、打ち切りの可能性が出てきてしまって……。
──武富さんがSNSに投稿されたことでファンも知るところとなりましたが、今年の5月に9巻をもって打ち切りになることが発表されました。打ち切りを宣告されたときのお気持ちを伺えますか?
武富 ついに来たかって。とにかく1巻と2巻が全然売れなくてヤバいと感じていたんです。いつ首を切られるんだろうかと、ずっと心配していました。
──連載スタート時から武富先生と一緒に走ってこられた劔持さんも、打ち切りのお話はしづらかったのではと思います。
劔持聡人 そうですね……何より「悔しい」という気持ちが大きかったです。部数のことは武富さんもご自身で分かってらっしゃったので、「(打ち切りが)いつ来るか……」「いつ話すか……」っていうのはたぶんお互いに考えていたと思います。