■“尋常じゃなく好き”な書店員が仕掛けたフェア

紀伊國屋書店新宿本店で行われた『ハニワット』フェア「#ドグーン祭り」の様子

──武富さんの告白ツイートがきっかけとなり、ファンから打ち切りを惜しむ声が多数寄せられ、大きな反響が起きた結果、既刊の全巻重版が決定し、連載続行が決定しました! 紀伊國屋書店新宿本店では、6月に『ハニワット』のフェアが開催され、熱量の高い店頭装飾が話題を呼びましたが、本日そのフェアの発起人である紀伊國屋書店の上田靖昂さんと、森田優織さんにもお越しいただいています。上田さんが『ハニワット』の大ファンだったことが、フェア開催のきっかけの1つだったそうですね?

『ハニワット』愛を語る紀伊國屋書店の上田靖昂さんと森田優織さん

上田靖昂 尋常じゃなく好きです! 先生のツイートを見たとき「(打ち切りなんて)そんなことあってたまるか!」と。これは売るしかない、こんなに面白いマンガを打ち切りにしていいわけがないと思い、先生のツイートから3日後には森田に相談しました。あらすじとオススメポイント、キャラクター紹介を両面に印刷した「ハニワット新聞」も作りましたし。

武富 いやあ、すごい(笑)

劔持 これ本当にすごいですよね!

──森田さんは上田さんから相談されたとき、どういうお気持ちでしたか?

森田優織 僕はその頃フェアの経験がなかったんですが、逆に何も経験がなかったからこそ、軽いフットワークで作り上げることができたと思っています。売り場の反応もよく、初日の時点で当初の想定を越えて、追加の発注をかけるぐらいの売れゆきでした。

──上田さんと森田さんはいち読者として、『ハニワット』のどういうところに魅力を感じたかお聞かせください。

上田 普通マンガって読みやすいように作られていると思うんですけど、先生が描きたいように描いているのが伝わってくるので、先生の思いの濃度が伝わってくるんです。「こんなマンガ読んだことない!」と思わせるところが、マンガ好きな人に好かれるんだと思っています。

森田 僕たちは部外者側の視点で読んでいるので、作品世界で「何が起こっているんだ」と戸惑っているんですけど、埴輪徒たちや実際に事件に向き合っている人も戸惑っているんです。そこが共感性も強くて面白い。また、読み進めるうちに物語のピースが1つずつはまっていく気持ち良さも、熱くなれる理由の1つだと思います。

『古代戦士ハニワット』第5話より
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