不朽の名作『機動戦士ガンダム』の中には、さまざまな登場人物との“悲しい別れ”が描かれていますが、もっとも忘れられない存在として、一人の少女「ミハル・ラトキエ」の名前を挙げるガンダムファンも少なくないのかもしれません。
ミハルはベルファスト近郊に暮らす貧しい民間人ながら、幼い弟と妹を養うためにやむなくスパイ活動に手を染めていました。そしてジオン公国軍の諜報員107号として、ホワイトベースの艦内に潜入しますが、顔見知りのカイ・シデンに発見されてしまいます。
しかしカイは、ミハルがスパイであることに勘づきながらも彼女を自室にかくまいます。一方ミハルは艦内に自分の弟や妹と同じくらいの幼い子どもがいることを知り、ホワイトベースの情報をジオンに流した自分の行動を後悔するのです。
その後ホワイトベースは、ジオン軍のグラブロやズゴックによって水中から猛攻を受けます。そしてカイがガンペリーで出撃するとき、ミハルは贖罪の気持ちから自ら手伝いを申し出ました。
こうしてカイと一緒に出撃したミハルは、対潜ミサイルを発射する役割を担当。電子装置に不具合が生じたことで、ハッチからの手動発射を試みますが、発射時に巻き起こった爆風で体を吹き飛ばされ、ミハルはそのまま大西洋へと落下。帰らぬ人となります……。
当初ミハルがガンペリーのハッチから転落したことを知らなかったカイ。ホワイトベース帰還後にミハルの死を知ると、その場に崩れ落ちて慟哭します。幼い弟と妹を残したまま不慮の死を遂げた少女の最期は、多くの視聴者の心にも大きな傷跡を残したことでしょう。