ゲームをやらない人でも『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)と聞けば、名前くらいは知っているだろう。1985年9月13日に発売された同タイトルは、ファミコンを代表する横スクロールアクションの傑作。国内で社会現象を起こしたかと思えばその人気は海外にまで波及し、“マリオ”の存在を世界中に知らしめた。マリオに関連したゲームは現在も精力的に作られ続け、時代や世代を超えて多くの人々から愛されている。
そして「あのスーパーマリオを超えた!!」というキャッチコピーを掲げて発売されたのが、ファミコン用ソフト『アトランチスの謎』(サンソフト)だ。同作がリリースされたのは『スーパーマリオ』から約半年後の1986年4月17日。マリオを名指ししたほどだから開発陣の相当な自信がうかがえる。
また、当時はネットなどでリアルタイムの情報を集められる時代ではない。そんな時代にライバルメーカーが、発売からわずか半年のゲームを“あのスーパーマリオ”などとうたったことからも、それだけ『スーパーマリオ』のすごさが伝わってくる。
そんな『アトランチスの謎』は、『スーパーマリオ』と同様の横スクロールアクション。巨大な島アトランチスに向かい、プレイヤーは行方不明なった師匠を探すために100ものエリアを探索していく。最終ステージに通じるルートは何通りもあり、すべてのエリアを制覇する必要はない。プレイヤーによって攻略順が大きく異なるのも本作の魅力の1つだ。
だが、それぞれのエリアのつながりは不規則で、1から順に行けることもあれば、一気に10以上のエリアをスキップすることもあるらしい。分岐ルートの判別は困難で、ゲーム中に提供される情報はほとんどなく、登場する敵もやっかい。攻略情報がなければクリアもままならない、理不尽なゲームとして語り草になっている。
私自身はファミコンよりかなり年下なので、ファミコンで発売されたゲームは当然リアルタイムで触れたことがない。『アトランチスの謎』が“理不尽”なゲームといった評価は、すべてネットから得た知識だ。
そういうわけで本記事では噂の真偽を確かめるべく、私が実際に『アトランチスの謎』をプレイした模様をお届けする。本作は任天堂が提供している「ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online」で配信されているので、今回はそちらを活用させてもらった。