ガリアン、レイズナー、ボトムズ…高橋良輔作品の「斬新すぎるロマン武器」後進に影響を与えた画期的アイデアとは?の画像
DVD版『装甲騎兵ボトムズ』Vol.1のパッケージより引用

 昭和のロボットアニメを愛するファンならば、高橋良輔監督のことを知らない人はいないでしょう。よしんば知らなかったとしても、高橋監督が製作した『太陽の牙ダグラム』『装甲騎兵ボトムズ』『機甲界ガリアン』『蒼き流星SPTレイズナー』といった名作ロボットアニメの名前は聞いたことがあるかと思います。アニメを視聴していなくても、『スーパーロボット大戦』シリーズなどの「ゲームで知った」という方も多いかもしれませんね。

 そんな高橋監督が手がけた『ダグラム』は、今年10月で放送開始から40年の節目を迎え、他の代表作もかなり古いアニメではありますが、今見ても色あせない面白さ。それどころか高橋監督作品に登場した斬新な武器やメカ機構のアイデアは、後に生まれた作品にも大きな影響を与えています。

 そこで今回は高橋監督作品の中でも、個人的に「コレは!」と感じた画期的なロマン武器を紹介したいと思います。

■2つのスタイルが楽しめる武器「ガリアンソード」

 最初に紹介したいのは「ガリアンソード」。『機甲界ガリアン』の主人公ジョルディ・ボーダーが駆るロボット兵器「ガリアン」、および「アザルトガリアン」が用いる剣を指します。

 このガリアンソードは分割された刀身がワイヤー(のようなもの)で連結されていて、ワイヤーを巻き取って通常の剣として使う場合と、分割した刀身をしなやかなムチのように振るって使う場合の2スタイルを使い分けられる画期的な構造。高橋監督は、昔の不良が自転車のチェーンを振り回していたことから発想を得て、このガリアンソードを思いついたそうです。

 ふだんはガリアンの左前腕装甲の袖部分に収納され、「ジャララッ」と引き出してから見せる剣戟は『ガリアン』の見せ場のひとつ。ムチのように敵を絡ませてそのまま斬ったり、連結させた剣で敵を斬り裂く姿にシビレたものです。

 近距離は普通の剣として、遠距離はムチのように振るって攻撃が可能で、その変則的なアクションは派手な演出が望めることもあってか、『ガリアン』以後のアニメやゲームにも似たような機構を持つ武器が登場します。

 ゲームでは3D対戦格闘ゲーム『ソウルシリーズ』のアイヴィーが用いる武器「バレンタイン」が有名。現在放送中のアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』に登場するヒュンケルの「鎧の魔剣」にも、ガリアンソードのようなギミックが採用されています。

 これはほんの一例にすぎず、いろんな作品にガリアンソードに影響を受けたと思われる武器が登場。「蛇腹剣」や「スネークソード」などさまざまな名称で呼ばれますが、ルーツをたどれば高橋監督のガリアンソードが原点と言っても過言ではありません。

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