■ブランクをモノともしない“神業”!

 続いて紹介したいのは、テレビアニメ『機動戦士Zガンダム』の第16話「白い闇を抜けて」というエピソードでの戦闘シーン。宇宙に発とうとするクワトロ・バジーナ(シャア・アズナブル)のシャトルを狙って、ティターンズのブラン・ブルタークの部隊が襲撃。これをアムロが迎撃した場面だ。

 このときアムロは一年戦争以来、約7年ぶりにモビルスーツに搭乗したのだが、そんなブランクや衰えをまったく感じさせず、それどころかリック・ディアスに乗って衝撃的な技量を見せた。

 複数のハイザックに加え、ブラン・ブルタークが搭乗する可変モビルアーマー「アッシマー」と空中戦を展開したアムロ。その最中には、カミーユのガンダムMk-IIを狙うハイザックのバックパックのみを切断し、機体を爆発させずに戦闘不能にするという神業を披露する。

 カミーユもアムロのまねをしてバックパックを狙うが、コクピットに当ててしまいハイザックは爆散。まだ成長途上のカミーユと熟練したアムロのパイロットとしての技量差が鮮明に描かれた場面でもあった。

 さらにカミーユが背後からアッシマーに狙われそうになると、これもアムロが援護。このときアムロは「後ろにも目をつけるんだ!」とカミーユに助言を贈る。おそらく「背後にも気を配れ」というニュアンスだと思われるが、セリフだけ聞くとニュータイプのアムロらしい常人の枠を超える表現に感じられた。

 ティターンズの優秀なパイロット、ブラン・ブルタークが操るアッシマーは、作中でカミーユとクワトロを翻弄した強敵。この戦いでもカミーユは危うく撃墜させられそうになったが、寸前でアムロが助けに入り、結局アッシマーを撃破したのもアムロだ。

 長いブランクがあるはずのアムロの戦いぶりは余裕すら感じられ、実戦中にもかかわらず若いカミーユに戦い方をレクチャーしているように見えたのが恐ろしい。ガンダムMk-IIや百式を苦しめたアッシマーだが、おそらくアムロ1人だったらもっと早く倒していたのではないだろうか……。

 そしてカミーユだけでなく、間接的にクワトロ(シャア)にもパイロットとしての格の違いを見せつけたようにも感じる衝撃的な戦闘シーンだった。

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