■ただの訓練生に戦闘任務!
このような具合でフライトエリア4まで合格した後、急展開が待っているのが『パイロットウィングス』の面白いところ。これまで航空技術を教えてくれた田中さん、白石さん、スコットさんの3人が、なんと麻薬シンジケートに拉致されてしまったというのだ。
黒田教官から「君ならヘリコプターで3人を救えるはずだ。やってくれるかね!」と頼まれ、まだ入会からわずかしかたっていない新米パイロットであるはずのプレイヤーが、戦闘ヘリを駆ってシンジケートのアジトに殴り込みをかける……という展開に。一応「はい」と「いやだっ!」の2つの選択肢が出るが、プレイヤーに拒否権はない。しかたなく戦闘ヘリに搭乗し、アジトの島の砲台をひとつずつ爆撃して教官たちを奪還する。ちなみに、対空砲火に1発でも当たればゲームオーバー。やっぱりこういう任務は軍隊にやらせたほうが……。
そのような奇想天外な展開はあるにせよ、『パイロットウイングス』は飛行機のリアルな動きを当時のグラフィックで再現した名作。「パイロットになりたい」という夢を一時でもかなえたこのゲームは、その後のフライトシミュレーションゲームの道筋を切り開いた。そして航空力学の基礎を、当時の子どもたちに教えてくれたのだった。