■ナンバリングすべてが1つの世界でつながる『幻想水滸伝』
初代『幻想水滸伝』は1995年12月15日にプレイステーション用ソフトとして発売されました。
国や民族同士の争いの中で、主人公たちが1つの軍を作って戦乱の世を駆け抜けていく。その目的はシリーズごとに異なるのですが、故郷や親友を守るため、また国に平和をもたらすため一丸となって戦っていく壮大さがウリのRPGです。
最大108人まで仲間になるという点からもその壮大さが伝わるかと思いますが、この108人のほとんど全員をパーティに入れて冒険することができ、仲間の組み合わせによっては強力な連携技を使うこともできる点も魅力でした。
最大6人パーティなので、なかなか全員と一緒に戦っていくことは難しいように見えますが、幻想水滸伝はレベルが低いほどもらえる経験値が多くなるシステムなので、初めこそ苦戦しますがすぐにパーティメンバーに追いつけるというのも大きなポイントでした。
このシステムのおかげで、後から仲間になったキャラや、序盤まったくパーティに入れなかったけど使ってみたいなあ~と思ったキャラをすぐに育成できるので、仲間の数が多くても活かしきれない!という懸念を克服しているのです。
パーティ編成を考えたり、仲間集めに奔走したり、仲間を戦死させないように守ってあげたり、そうしたストーリー以外の部分でも108人それぞれに感情移入したくなる個性を作ってくれているため、RPGとしてプレイヤーが遊ぶ余地が豊富かつ思い入れが深い作品となっているのです。
初代の時点で「こんなに面白いRPGがあるのか……!?」というほど高い完成度を誇っていた本作は、グッドエンディングの最終盤でなにやら“続きを匂わせる”ような終わり方をします。
そして、その後発売された『幻想水滸伝2』では1のキャラクターたちに加え、なんとセーブデータさえあれば1の主人公すら仲間になってくれるという展開が待っていたのです。
実は、『幻想水滸伝』の世界線は時代や場所こそ違いはあれど、すべて同じ世界での物語という設定になっています。
ナンバリングシリーズ全体が『幻想水滸伝』なのです。
壮大な国同士の争いの中で、小さな軍勢が何かを救ったという事実をプレイヤー目線でのぞき見る。まるで大河ドラマのような物語が1~5までつながっていると思っていただければと思います。根強いシリーズファンが多いことにも納得がいきますよね。
しかし『幻想水滸伝』のナンバリングシリーズは、2006年の『幻想水滸伝5』以来、新作が発売されていません。
11年間で5まで発売されたにもかかわらず、その後15年間、新作が発売されていないのです。(制作陣の中でいろんなことがあったようですが、詳細は結局部外者には分からないので何も言いません)
そして、5で完結でいいのか、と言われると1プレイヤーのわがままを言わせていただければ「NO」と言わざるを得ません。なんだったらまだまだ完結してもらっては困るレベルです。
ナンバリングシリーズ以外の幻想水滸伝の名がついた作品も発売されてはいましたが、世界線が異なるスピンオフ的な立ち位置なので、やはり5以来、幻想水滸伝ファンは待ちぼうけを食らっているのです。
そんな折、あるゲームの情報が幻想水滸伝ファンたちの元に届きます。そのゲームの名は『百英雄伝』。幻想水滸伝シリーズを手掛けたスタッフが勢ぞろいし、本作の開発をスタートさせたのです。